今日は興味を惹くような演奏会もなく、どこかを見物にでかけるほど具合も良くなく、ほとんどを部屋の中で過ごしてしまいました。ゆっくりと本や楽譜を読むことにまだ慣れなくて、自分は無駄に時間を過ごしているのではないかと思ってしまうのは、もう性格的に仕方がないのですかね。それこそ自分の望んだことの1つだったわけですが。
午後、大家さんが部屋のソファに合ったコーヒー・テーブルと、ヴィザの申請に必要な書類を持ってきてくれました。大家さんには私の部屋の完成イメージというのがあるようで、今度私が留守にしている間に、机を大きなものに替えると言っていました。もしかしたら本棚も来るかもしれません! そして私と同じく風邪気味の大家さんは「練習しなくちゃ」と言って帰っていかれました (次のチェコ・フィルの定期は、デュトワさんの指揮でシマノフスキの歌劇「ロジェ王」の演奏会形式上演です) 。
11月頭にチェコ・フィルがドヴォルザークの交響詩「水の精」を演奏するので、スコアを読み始めました。ドヴォルザークの4曲の交響詩はよほど指揮者とオーケストラが作品を噛み砕かないと聴かせきれない作品群ですが、いつか是非やってみたいと思っています。
先日買ったBBC Music Magazine 10月号の付録CD (ロンドン・フィル特集) を聴いてみましたが、最も感銘を受けたのは、全く期待していなかった (失礼!) ユロフスキ氏指揮のチャイコフスキーの弦楽セレナーデでした。出だしからして「アップから弾いてる!?」と思わせるほど柔らかで、大げさな言い方が許されるならばそれは天から降ってくるかのようです。全曲を通じて幾分ヴィブラートが抑制されているだけハーモニーが美しく、粗っぽいところ皆無です。この曲をこれだけの pure, beauty & naive で纏め上げた演奏などないのではないでしょうか。ライヴ録音ですから、アンサンブルや音程に関してはこれよりも完璧な録音もあるでしょうが、男っぽい歌にあふれたカラヤン=ベルリン・フィル盤の対極にある演奏として、是非騙されたと思って聴いてみて欲しい録音です。
雑誌の付録ゆえ、すぐに手に入らなくなってしまうのが本当に残念。個人的には、これほど血が浄められるような思いがしたのは、最近ではヒラリー・ハーンが弾いたモーツァルトのヴァイオリン・ソナタ集を聴いて以来です。