Diary


11/10

 昼下がり、国立の「ロージナ茶房」にて、くにたち室内管弦楽団のある中心メンバーとランチをご一緒しました。先日の演奏会のCDが出来上がったのでそれを受け取りがてら、というわけです。一橋大学管弦楽団系の人間なら多くが知っていることですが、このお店、出てくる食事の量が極めて多い!私はカルボナーラを「80%で」オーダーしましたが、それでもお腹いっぱい! それからこのお店の看板メニュー (?) に「ザイカレー」というカレーライスがあるのですが、「ザイ」の意味については同席の彼も長年この店に通っているが分からず、マスターに聞く勇気もないとのこと。彼の注文したザイカレーを一口もらいました。「辛い」ということでは確かにカレーですが、むーん・・・


 彼と別れて国立駅に入ると、中央線が人身事故でストップしていました。一旦駅を出ようにも有人改札のところからホームへの階段近くまで大行列が出来ていたので、腹をくくって車内に座って走り出すのを待ちました。

 実は17時から日比谷公会堂で井上道義さんの指揮するショスタコーヴィチを聴きに行こうと思っていたのですが、そんなわけで東京駅に着いた時点で既に17時を過ぎてしまっていました。そこで、そういえばと思い立ち、18時からのサントリーホールでの東京交響楽団の定期演奏会を聴きに行くことにしました。


 今日聴いたコンサート@サントリーホール 大ホール

 東京交響楽団第550回定期演奏会

 指揮:ユベール・スダーン
 ヴァイオリン:イザベル・ファウスト

  ハイドン:交響曲第9番 ハ長調 Hob. I: 9
  メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 作品64
  アンコール/J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番 ハ長調
                   BWV 1005 第3楽章 「ラルゴ」
  シューベルト:交響曲第8番 ハ長調 D 944 「ザ・グレイト」


 ゲットできた席がP席の最前列どまんなかだったので、指揮者がとても良く見えて嬉しい反面、オーケストラが近過ぎて何だかドキドキしました。スダーンさんと面識がなかったのが救い。

 初めてスダーンさんのライヴに接しました。前から見ているととても表情豊かで、ハーモニーの色合いなどが実に良く伝わってくる感じがしました。一方音を出すタイミングになどに関しては非常に明瞭にキューを出されていて、職人気質と芸術家気質の絶妙な融合を見る思いがしました。

 ハイドンとメンデルスゾーンはオーケストラの編成も小さく、スダーンさんも指揮台をお使いにならずに室内楽的な雰囲気で臨まれていました。ファウストさんは技術的には完璧ながらヴィルトゥオーゾ的というよりはどちらかといえば慎ましやかなアプローチだったように思いましたが、席の関係で音が明瞭に聞こえたわけではないので断言は控えざるを得ません。彼女の落ち着いていて清潔な音色、第3楽章のような音楽ですら時には思い切ったピアニッシモを用いる感性には強く惹かれるものがありました。この曲だけはソリストの前で聴きたかったかも。

 後半のシューベルトは時に古楽的なフレージングを取り入れながらも堅苦しさのない楽しめる演奏でした。それと共に東響の方々の生き生きとしたポジティヴな表情、管楽器の方々がこっそりとお互いにエールを送り合いながら演奏を盛り立てていかれている様子もしっかりと楽しませていただきました。
 
 それと聴衆の何とありがたくも静かだったことか! ただ、プラハの聴衆に比べると、楽しみに来ているというよりは、何かを吸収しに来ている、といった雰囲気がありますね。皆さんプログラムも真剣に読まれていますし。国民性なのでしょうかね。

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