Diary


11/11

 今日聴いたコンサート@オーチャードホール

 東京フィルハーモニー交響楽団 第744回 オーチャード定期演奏会

 指揮:チョン・ミョンフン
 ピアノ:河村 尚子

  モーツァルト:ピアノ協奏曲第23番 イ長調 KV 488
  アンコール/モーツァルト:ロンド ニ長調 KV 485 (たしか)
  アンコール/モーツァルト:ピアノ・ソナタ第11番 イ長調 KV 331
                    「トルコ行進曲付き」 第3楽章
  ブルックナー:交響曲第6番 イ長調 (ノヴァーク版)


 初めて河村さんのピアノを拝聴いたしましたが、そのニュアンスの豊富さ〜それは多くはハーモニー感、調性感に立脚したものだったと感じました〜に感激しました。また、曲の性格もあったのでしょうが楽器を決して叩いたような感じになることがなく、常に語りかけるようなタッチだったのも私の好みに合っていて嬉しかったです。

 アンコールは、普通に考えれば「トルコ行進曲」1曲だけでも良いのでしょうが、イ長調の協奏曲とイ短調〜イ長調の「トルコ行進曲」の間にニ長調の作品を挟んだのは、意識的にせよ無意識的にせよ、河村さんの調性に対する見解 (理論と感覚) の現れであると考えました。

 今日は前から2列目の下手寄りで聴きました。管楽器が全く見えない席です。あれは1993年のことだったと思いますが、サントリーホールの前から2列目下手寄りでチェリビダッケとミュンヘン・フィルのブルックナーの4番を聴きました。冒頭、目の前のヴァイオリンが草葉のざわめきを表現するかのようなトレモロを奏し、その上に、見えないところから、まるで天から降ってくるようにホルンのテーマが鳴り響いたのを今でも忘れられません。今日、東京フィルの6番を聴きながらその時のことを思い出していました。6番には4番のようなタイプの管楽器のソロはありませんが、トゥッティの部分で、教会の高いところに置かれているパイプ・オルガンが壮麗な音の雨を降らせてくるような感覚を覚えました。

 私が今日最も感銘を受けたのは第2楽章で、チョン氏にしか持ち得ない独特のオーラで東京フィルから太くて持続感のある音色を、他の楽章にも増して引き出していたように思いました。

 終演後はヤマハの渋谷店に立ち寄って、しばらく探していたヒンデミットの「気高き幻想」をやっとゲットできました。

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