午前中にチェコ語のレッスンを受けてから旅の準備をして、ドレスデンに行くべくプラハ・ホレショヴィツェ駅に向かいました。駅では国際線のチケット売場が全て閉まっていて、しかも英語表記が <Ticket> ではなくて <Check-in> だったのもあって「あれー」と思いましたが、数分すると奥から係員が出てきました。お客が少ないからって真っ昼間にカウンターを全クローズしないで欲しいです! 他の人たちも焦っていました。
プラハからドレスデンまでは電車一本、2時間10分ほどで行けます。今回は14時半過ぎの電車に乗って、16時50分にはドレスデンに到着、18時からゼンパーオーパー (州立歌劇場) で「メリー・ウィドウ」を見るという予定を立てていました。ところが実際には電車が35分も遅れ、ドレスデンに着いたのは17時20分近くになってからになってしまいました。ドレスデンは初めてで全く土地勘がありません。ガイドブックを片手にとにかく劇場の中心部に行くトラムを見つけて乗り、降りてからは道行く人に尋ねながら、なんとか17時45分には劇場に着きました。しかし今度はチケット売場が分からない。結局ダフ屋から15ユーロの席を20ユーロで買いました。交渉するにも時間が無さ過ぎました。
開演5分前に自分の席に着席。
今日観た公演@ドレスデン州立歌劇場
レハール:喜歌劇「メリー・ウィドウ」
指揮:マンフレッド・ホーネック
演出:ジェローム・サヴァリー
ミルコ・ツェータ男爵:グンター・エメルリヒ
ヴァランシェンヌ:リディア・トイシャー
ダニロ・ダニロヴィッチ伯爵:ペーター・ザイフェルト
ハンナ・グラヴァリ:ペトラ=マリア・シュニッツァー
カミーユ・ド・ロシヨン:オリヴァー・リンゲルハーン
カスカーダ子爵:クリストフ・ポール
サン・ブリオッシュ:ゲラルト・フパッフ
ニエグシュ:アーマト・メスガルハ
クロモウ:ドミニク・リヒト
ボグダノヴィッチ:フランク・ブリューメル
プリチッチ:フランク・ヘーアー
オルガ:ギーゼラ・フィリップ
シルヴィアーヌ:ガビー・ファルケンハーゲン
プラシュコウヴィア:ハイケ・ヴォンメルスドルフ
そのほか
ドレスデン州立歌劇場合唱団
シュターツカペレ・ドレスデン
中部ドイツ放送テレビバレエ団
日本語表記が適当でないものもあるかもしれませんがご容赦ください。
シュターツカペレ・ドレスデンを初めて聴きました。日本的な意味で繊細な感じではなかったので (こちらでは、日本のオーケストラのような、細かい気遣いの集積的な演奏をまず聴かないような気がします) 、最初は、意外にふつうじゃん・・・と思っていたのですが、じわじわ来ました。特に第2幕以降は本当に柔らかでかつ艶があり、それに加えて奏者の音楽性が非常に豊かで、いつのまにかすっかり酔わされてしまっていました。特に「メリー・ウィドウ・ワルツ」は (使い古された表現ですが) 絹のような音色で、チェロやヴァイオリンのソロなど、間違いなく世界最高レベルだと思いました。
舞台のほうは半分しか見れない席だったのですが、何とか指揮者を覗ける位置だったのでこちらの方はじっくり観察しました。オーケストラの、自分たちの音楽を今は出す時!という時には必ずしも指揮者にぴったり合わせているわけではないものの、これ以上指揮者と離れると本当に指揮者の方向性と違う方向に行ってしまう! という直前のところでぐぐぐぐっと指揮者の棒に集まる感覚の敏感さが、実に面白く興味深かったです。あと、どうでもいいことですが、セリフの間、何人もの人が舞台が見える場所に移動してピットの中で立って舞台を見てました。演奏しながらちらちら舞台を見ている人もいましたね。
指揮者のマンフレッド・ホーネック氏も初めてでした。非常にエネルギッシュな指揮ぶりで、近々チェコ・フィルにもお見えになるのが楽しみになりました。
演出は (とは言っても見えているのは舞台の半分なわけですが) 、基本的に現代ヴァージョン。ハンナがヘリコプターに乗って登場したのにはぶったまげました。ヴィリアの歌のダンスもスクリーンに映し出される形態だったりして。ただ、現代的とは言えど、人形劇その他のお楽しみアトラクションも多くて、しっかり楽しめる演出になっていたのはさすが。
昔この曲の公演に関わったことがあるので、話も曲も分かってはいるものの、ドイツ語が不得手な私としては、セリフをリアルに追いかけていくことはとても無理、特にしゃれ系になると全くお手上げ状態でしたが、美しい劇場 (ただし、廊下は汚れています) と、素晴らしいオーケストラだけでも十二分に価値がありました。
終演後、暗がりで見渡した劇場周囲の建物は神秘的な美しさで翌日への期待が高まりました。ホテルにも問題なくチェック・イン出来、部屋もまずまず、というか先日のロンドンのホテルに比べたら天国のようで、一安心。