Diary


12/27

 ドレスデンは土地に余裕があるのか、意識的にそうしているのか、ともかくごみごみした感じが全くないの気に入りました。どことなく静かな雰囲気が漂っています。


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 午前中に行ったのはプロテスタントの聖十字架教会。今まで見てきた各地の教会とは一味違った、簡素ともいえる造りには逆に心打たれ、しばし滞在してしまいました。ここは歴史ある少年合唱団を抱える教会でもあります。塔にも上ってドレスデンの街並みを初めてじっくりと眺めました。

 レジデンツ城の一画にある美術館でクリスタルを見て、ミュージアム・ショップでヨーロッパとアメリカの美しい図書館の写真を多数収めた写真集を購入。今回の旅行は出来るだけ買い物はしないをルールにしていたのですが、書庫好きとしてはもう我慢できませんでした。その後昼食。今回滞在中に一貫して感じたことですが、レストランに限らず様々な場所の従業員の勤務態度がプラハに比べて断然素晴らしいです。そして表情も生き生きとしていますね。たった2時間ちょっとなのに、こんなに違うのか・・・ と、驚きました。

 午後は交通博物館から。ふるーいトラム、汽車、自動車、自転車、飛行機など乗り物なんでもござれと陳列されていました。私はこの手の興味はあまりないんですが、それでもなんだかわくわくしちゃって結構時間をかけて楽しんでしまいました。

672584265_229.jpg    それから、定番の「君主の行列」という壁画を見て、カトリック旧宮廷教会に入り、エルベ川を眺め、再びゼンパーオーパーの前を通ってツヴィンガー宮殿へと出ました。これらの名所は全て隣り合っていると言ってもよく、観光をするには至便です。

 ツヴィンガー宮殿ではまずアルテ・マイスター絵画館に入りましたが、これが入り口の小ささからは全く想像もできないような膨大な面積とコレクションで、あまりの量に段々感覚が麻痺してきて、ラファエロやフェルメールの傑作を前にしてもただただボーッとしてしまう始末。朝から歩き疲れ、荷物の持ち疲れもしていたということもありますが。もしドレスデンに行かれることがあるのであれば、ここへはできたら体力のある午前中のうちに来て、スケジュールに余裕があれば2回くらいに分けてゆっくりと見てまわることをお勧めします。逆に言えばそのくらいの価値がある美術館だと思います。

 疲れきって、美術館のカフェでコーヒーを飲んで、ホテルに戻って少し休みました。

 あ、嘘でした。CD屋さんだけは疲れてもしっかり寄りました。

 夜は、近年見事に再建されたフラウエン教会 (聖母教会) での演奏会に。

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 今日聴いたコンサート@ドレスデン 聖母教会

 「ドレスデンの管楽器によるクリスマス
                 〜400年間のクリスマスの管楽音楽」

 ルードヴィヒ・ギュットラー金管アンサンブル演奏会

  オットー、ネトヘル、ヘンゼル、ヘッセル、ボーデンシャッツ、ダニエル・パーセル、プレトリウス、ヴルピウス、ブラーデ、シンプソン、J.S.バッハ、ギュットラー、シュレーター、ブッシュ、クリューガー、シャイトらの作品


 金管アンサンブルの演奏会に出かけたのは生まれて初めてだったかもしれません。今回は教会の見学も兼ねてこの演奏会に行くことにしました。

 教会の外側は、空襲で崩れ落ちた際の瓦礫から復活した石材と新しい石材とのコンビネーションで造られていますが、内部はほぼ全て新しいものだけと思われ、初々しい美しさにあふれています。今は古びている多くの教会も、出来た当時はこんなふうだったのかなあと、そしてそこに集う人々のことを想像してしばし楽しみました。

 さて、プログラムなのですが、あまりに曲目が多すぎるので書ききれません。100分間休憩なし。興味深かったのは、あるコラールのテーマに基づく何人かの作曲家の作品、もしくは作品の断片を組曲風にしたプログラミングをしていたことでした。このようなプログラムを組むのは相当な音楽的知識がいるはずなのですが。しかも私、ほとんど全員知らない作曲家でした (多くがバッハ以前の作曲家です) 。金管アンサンブルの世界に関しては全く無知なのですが、これはこの世界では常識的なレパートリーなのでしょうか?

 正直、演奏会の前半は私の耳にはいささか退屈で、それは中盤に演奏されたバッハがそれはもう斬新に聞こえてしょうがないくらいだったのですが、後半には和声の凝った20世紀の作品や、バッハの、3箇所にアンサンブルが分かれてエコーの効果を狙った作品などを配置し、演奏会の最後に向けて盛り上がるようにうまくプログラミングされていました。そして極めつけはアンコール。なんと楽器を小脇に抱えて、男声合唱による「神の御子は今宵しも」でした!

 私と同じことを考える人がたくさんいたようで、演奏会終了後は多くのバルコニーのお客が下に降りていって、教会見学会になっていました。

 深夜にふと思ったことがあります。ドレスデンは第二次世界大戦の空襲で徹底的に破壊された都市であり、街の多くの場所で破壊された街や歴史的建造物の写真、そしてその後の再建の状況を見ることが出来ます。でも、少なくとも私が1日歩いた範囲では、空襲によって奪われた人命のことについてのインフォメーションを何一つ見ることが出来ませんでした。日本との単純な比較は慎むべきなのは分かってはいますが、大戦による破壊ということで長崎のことに思いを向けたとき、ちょっと気になりました。

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