今朝は午前中から出掛ける用事などは全くなかったのですが、日本のチェコ共和国大使館に電話をするために早起きしました。彼らの電話受付は月・水・金曜の13時からたしか16時45分くらいまで。日本とチェコとの時差は8時間なので、日本の13時というのはチェコの朝5時です。16時でもこちらは朝8時。うっかり寝坊でもすれば「また来週〜」となってしまいます。東京に住んでいた頃、ゴミの回収が朝8時くらいだったことを思い出しました!
今日は実はスタヴォフスケー劇場で團伊玖磨の歌劇「夕鶴」が、チェコ東部のオパヴァという都市のオパヴァ=シレジア劇場の制作により、驚くべきことにオールチェコ人キャスト (!!) によって日本語 (!!!) でプラハ初演されるという公演があり、チェコ・フィルの定期に行かずにそちらに行こうかとぎりぎりまで迷っていました。しかし最終的にはヴェラー氏の素晴らしさに惹き付けられてチェコ・フィルのほうを選択しました。
今日聴いたコンサート@ルドルフィヌム ドヴォルザーク・ホール
チェコ・フィルハーモニー管弦楽団定期演奏会
(ABチクルス第4回 / 第2日)
指揮:ワルター・ヴェラー
ヴァイオリン:リーラ・ジョセフォヴィッツ
チャイコフスキー:幻想序曲「ロメオとジュリエット」
ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン協奏曲 イ短調 作品77
アンコール/曲目不明 (ヴァイオリン独奏)
グラズノフ:交響曲第5番 変ロ長調 作品55
昨日グラズノフのことを書かなかったのでグラズノフのことを書きます。楽想が豊かで、形式的にも分かりやすい曲ですが、音数が多く、響きが華やかすぎる部分もあって短時間で整理するのが難しいとスコアからは感じます。
でも、私この曲は好きです。グラズノフの交響曲は全曲は知りませんが、この5番は一番最初に知った彼の交響曲で、ほかにも何曲かのスコアがうちの実家の段ボールに眠っているはずです。
ヴェラーさんのテンポは第1・2・4楽章についてはかなり速いと感じました。これを超えたら演奏不可能、というぎりぎりの線のテンポで、しかも余裕しゃくしゃくと音楽をぐんぐん流していきます。
数日前にも書きましたがチェコ・フィルはどちらかというとアンサンブルが前に進む傾向を持っている (と私が勝手に感じている) ので、そのヴェラーさんのアプローチに対抗して踏ん張る、ということは全くなく、どんどんマエストロの作り出す流れに乗っかっていきます。実は客席から見ていてこのままいったら難所で崩壊してしまうのではないかと少々冷や冷やしながら聴いていたくらいです。しかし昨日・今日ともオーケストラはものすごいテンポの中で細かい音符をきちんと音楽にしながら崩壊もせずに弾ききっていました。今回改めてチェコ・フィルのポテンシャルの高さを思い知らされた次第です。そして、オーケストラの技術的なことへの心配など全くせずに (それは、ケアをしないということとは異なります) 、ぐいぐいオーケストラを音楽の中へと引っ張っていく指揮者・・・ワールドクラスの指揮者とオーケストラの仕事の質とはこういうものなのか、という思いです。
一方第3楽章のようなゆったりとした部分ではかなりルバートも豊富でした。だけれどもそれは思いつき的なものとは対極にある極めてよく整理されたもので、聴いていて説得力絶大でした。
今日のカーテンコールの際、非常に珍しいことにチェコ・フィルの弦楽器の楽員の方々の弓が指揮者を讃えて大揺れに揺れていたのを見ました。