8日・9日に聴いたコンサート@ルドルフィヌム ドヴォルザーク・ホール
チェコ・フィルハーモニー管弦楽団定期演奏会
(EFチクルス第7回 / 第1日・第2日)
指揮:ズデニェク・マーツァル
ソプラノ:ダニエッレ・ハルプヴァハス
アルト:ルネ・モロク
ブルノ・チェコ・フィルハーモニー合唱団 (合唱指揮:ペトル・フィアラ)
マーラー:交響曲第2番 ハ短調 「復活」
8日はチェコでは「戦勝記念日」という祝日。1945年のこの日、連合軍によってチェコスロヴァキアは開放されました。日本人である私には終戦は夏という感覚が染み付いているので、何だかピンとこない、というのが正直なところです。
さて、演奏会のプログラムを開けると、ミュージック・ペンクラブ・ジャパンが昨年11月、すみだトリフォニーホールでの「わが祖国」の演奏に対して「外国人アーティストによるベスト・コンサート・パフォーマンス」という賞をマーツァル氏とチェコ・フィルに与えた、という文章が目立つように載せられていました。その演奏会は私も聴いていたので、なんだか嬉しくなります。
今回の演奏会、さすがにステージはかなり窮屈そうな感じです。大きくないドヴォルザーク・ホールでは強奏部分では音が飽和してしまいますが、それでも音が曇ったりはしないし、嫌なうるささも感じないので私は気持ち良く聴けました。
マーツァル氏のこの曲の捉え方は、ご本人に伺ったわけではありませんが、かなり絶対音楽的な感じのように思いました。それとほかのマーラーの交響曲を演奏される時と同じように、今回もテンポの急激な変化が少なく、イン・テンポ主義のマーラーというとちょっと言い過ぎですが、どちらかといえば古典的な枠の中で作品を捉えていらっしゃるようには感じました。そのことによってオーケストラは落ち着いて音を出せる場面が多く、濁りの少なく音色の美しいこのオーケストラの美質が生かされた演奏になったように思います。おそらく今回もそのうち録音が発売されるのではと思うので、ぜひ楽しみに聴いてみたいところです。
バンダは3箇所ありますが、最初と最後のホルンの5度のモティーフから始まる部分は一階下手前方のロビーから、真ん中の軍楽隊調のところは上手舞台奥から演奏されていました。ドヴォルザーク・ホールのロビーは日本のほとんどのホールがそうであるように絨毯などは全く敷かれていないため、良く響きます。普段はこのせいでたまに本番中にロビーでの物音が聞こえたりしてしまうのですが、今回はその響きが強くプラスに作用して、まるで教会で演奏を聴いているような感覚を味わえました。
合唱団はプロフェッショナルな団体で100名ほどだったでしょうか、優れた演奏団体だと思いました。言葉の捌きなどは日本の合唱団のほうがより綿密に仕上げることが出来るかもしれませんが、やっぱり日本の団体と響きが全然違います (ただし私はここで良し悪しを言っているわけではありません) 。情なくストレートに響いてきて圧倒されますが、この違いは私にはうまく文章にできません。
BGM: マーラー:交響曲第2番「復活」
ヴァーツラフ・ノイマン指揮チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
(1993年録音、Canyon Classics)