Diary


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 11時20分にフローレンツのバスターミナルからリトミシュルに向かって出発。途中、フラデツ・クラーロヴェーで乗り換えて、丁度3時間でリトミシュルに到着する予定だったのですが、道中事故渋滞があって3時間半を要してしまいました。

 リトミシュルのバスターミナルは工事中?だったので、近くのキヨスクで町の地図を買おうとしたのですが、「地図?どこの?」などと言われる有様。結局町の中心部にあるインフォメーション・センターまで行かないと手に入らないとのことでした。幸い迷わず徒歩5 分ほどで町の中心部まで出ることが出来、ホッと胸を撫で下ろしました。


 自分が高校生の時からお世話になっているハーピストの先輩が電車でいらっしゃるので地図を片手にお迎えに。無人駅で思いっきり寂れていますね。しかも着いた電車は一両編成。とんだ田舎に来たものだ、との印象を受けました。

 今夜は泊まるホテルがリトミシュルではないので、先輩の大きなスーツケースをどこに預けておくかは悩みどころだったのですが、パワフルな先輩は迷うことなく駅から程近いホテルのフロントに話をつけて荷物だけ預かってもらっていました。

 インフォメーション・センターに戻って、演奏会の後にホテルまで行くタクシーを手配して、先輩はチェコ・コルナへの両替も済ませて、遅すぎる昼食。16時半くらいになっていました。先輩に「いろいろありがとう」と言われたので、「とんでもありません。高校生の時に先輩には千円お借りしたことがありますので」と答えたら、「一万円だったと思うよ」と言われてしまいました。あれれ! まだしばらく先輩にはご奉公しなくては! その後ちゃんと返済したらしいということがせめてもの救い。

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 一旦先輩と分かれてゲネプロを聴くため演奏会場のリトミシュル城に。お城の中庭を利用した会場。オーケストラがいるところには屋根があり、音響は想像していたより全然良かったです。サウンドチェック程度と聞いていたゲネプロは実際にはかなり長い時間をかけていました。

 ゲネプロが終わって会場を出ると何故か先輩も会場から出ていらっしゃいました。確かにゆるゆるの雰囲気で誰でもゲネプロに入り込める感じではありました。先輩はチケットを事前に入手出来なかったのですが、音楽祭の事務所でキャンセルチケットを無事入手されたとのことで一安心。この2晩の演奏会のチケットは入手が極めて困難で、私も一週間ほど前になってようやくオーケストラの事務局の方を通じて準備していただける算段がついた、というくらいでした。

 本番までのしばしの時間を喫茶店で。オーケストラの方がチェスをやっていらっしゃいましたがその肩には小鳥が乗っかっていました! 写真を撮れなかったのが残念!


今日聴いたコンサート@リトミシュル城 第2中庭

第50回「スメタナのリトミシュル」音楽祭
チェコ・フィルハーモニー管弦楽団演奏会

ドヴォルザーク:レクイエム 作品89

 指揮:オンドレイ・レナルト
 ソプラノ:アドリアナ・コフートコヴァー
 メゾ・ソプラノ:ダグマル・ペツコヴァー
 テノール:トマーシュ・チェルニー
 バス:ペテル・ミクラーシュ
 プラハ・フィルハーモニー合唱団 (合唱指揮:ルカーシュ・ヴァシレク)


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 20時開演。本番の時間には客席の部分も屋根付きになっていました。本当に素敵な雰囲気で、もうここで演奏会を開催するだけでほとんど成功は決まったもの、と思ってしまうくらいです。

 東京でもお馴染みのレナルト (正しくは「レナールト」でしょうか) さんの指揮はこの作品に対する豊かな経験を感じさせるもので、非常に安定していて聴いていて全く危なげがありませんでした。この「レクイエム」は同じドヴォルザークの「スターバト・マーテル」に比べると少し聴き辛い面があるのは否めませんが、比較すればこちらの方がはるかに手が込んでいる力作でありますし、作品番号を見れば分かるように、交響曲第8番との対照としても重要な作品なので、もっと日本でも聴くことの出来る機会が増えればと思います。

 今日は「オッフェルトリウム」後半のフーガのところで停電がありました。よりによって全曲中最もテンポが早くかつ複雑なところだったこともあり、数秒後にレナルト氏は続行を断念。客席からはその数秒の演奏を讃えて (?) 拍手が。幸いすぐに電気が付いたので、再びフーガの部分から演奏が再開されて、その後は何事もなく無事全曲を終えました。少し驚いたのは舞台も客席も全く動揺が見られなかったことですが、ここでは停電が珍しくないのでしょうか!?

 22時少し前に終演。こちらは日が暮れるのが遅いので、ちょうど美しい夕暮れが見れました。

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 終演後、先輩とレストランを探すもなかなか見つからず。二千人はいると思われた聴衆はみな何処へ消えたのか? やっと地元の居酒屋みたいなところでオリーブの実とポテトチップスにありつけました。23時に呼んだタクシーに乗って、15分ほどでウースティ・ナド・オルリチーという町のホテルへ。思ったよりリトミシュルから近かったし、タクシー代をボラれることもなく、部屋も安くて快適。ぎりぎりになって何とかおさえた割には当たりでした。


BGM: ドヴォルザーク:レクイエム
     ウォルフガング・サヴァリッシュ指揮チェコ・フィルハーモニー管弦楽団・合唱団ほか
                                  (1984年録音、Supraphon)

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