9月の上旬は帰国していました。帰国中、何人の方から「日記が更新されていない」とお叱りを受けてしまいました。いつも読んでくださりありがとうございます。8月の最終週もドヴォルザークの別荘ヴィソカーに出かけたり、クラコフ〜アウシュヴィッツ旅行をしたりしました。時間があったらまたまとめてみたいです。
とりあえず日本滞在記を走り書きしました。文章が変なところもあるかと思いますがお許しを。
9/1
朝、成田空港着。スーツケースを宅急便で宿に送り、空港内で散髪とシャワー、そして欠かせぬ回転寿司! 成田エクスプレスで都内に出てカイロプラクティック、それから眼鏡が壊れたので眼鏡屋さんに行って新しいものを作る。早めに就寝。
9/2〜4
1年ぶり、群馬交響楽団の移動音楽教室のリハーサルと本番4回。新しい眼鏡をかけたら、舞台上の楽員の皆さんがすごくすごく良く見えて何だかドキドキしてしまいました。今回は何人かの楽員の方々と色々とお話できたのも良かったです。群響さんにはまた12月の初めにお世話になります。
4日の夜は都内のアマチュア・オーケストラ、新日本交響楽団の数名の団員の方々と、今後についての打ち合わせ&飲み会。上野精養軒のビアガーデンからの眺めは、ここ上野で学生時代を過ごした私にはひどく懐かしゅうございました。
9/5
時差ボケと疲れをごまかしてきたのがついに表に出て、14時近くまで起きられず。夜は一橋大学管弦楽団の若手OBが中心となって毎夏に演奏会を開いている、くにたち室内管弦楽団の面々と宴会。こちらもやはり今後の活動についてが話題にのぼる。
9/6
新幹線で名古屋へ。名古屋フィルハーモニー交響楽団の定期演奏会を聴く。以前、トヨタ・マスター・プレーヤーズ・ウィーンとの合同演奏に舞台裏の指揮者として参加したことはあったけれど、生で単独の名古屋フィルの演奏を聴くのは初めて。良い席をご用意してくださった事務局の方々に感謝。まずこれだけ大きなホールで2回公演を打って、メシアン/武満/ラヴェルというプログラムで客席がしっかり埋まっていることに驚く。休憩時間も真剣に演奏内容について議論している声を耳にするにつけ、かなり音楽文化が成熟している街なのだなあ、という印象を強く持ちました。ティエリー・フィッシャーさんの指揮のもと、どの曲も入念に準備されたことがうかがえる演奏でしたが、個人的には特にメシアンでの金管楽器の美しい音色は心に残りました。「ダフニスとクロエ」もあっという間に終わってしまったような感じ。
夜は名古屋在住の知人と夕食。広汎な知識を持つ氏に圧倒される3時間のディープ・トーク。
9/7
午後から名古屋フィルとリハーサル。名古屋フィルを指揮させていただくのは初めて。やはり初顔合わせというのは緊張します! ただリハーサルを始めてみると、つたない私にも楽員の皆さんが誠実に応えてくださるのでとても嬉しかったです。今回の演奏会はオーケストラのみの演奏もありますが、メインは何と600名前後の小・中学生の合唱との共演。しかも演奏会の前半と後半ではすっかり合唱団が入れ替わります。つまりは合計約1200人との共演です。今日はその全員が練習場に集合したのでものすごいことになりました! 音楽的には子どもたちが予想以上にしっかり準備してくれているので、本番が楽しみ。夜に帰京。
9/8〜9
8日も9日も午前中はお仕事の打ち合わせ。午後からは種々の資料探しに都内を奔走。
9/10
13時から16時まで一橋大学管弦楽団の合奏指導。ブラームスの交響曲第3番を全楽章。夜は彼らと一緒にサントリーホールでの読売日本交響楽団の演奏会に行ってやはりブラームスの3番などを聴く。スクロヴァチェフスキさんは85歳にしてブラームスのみならずショスタコーヴィチの1番まで暗譜で指揮されているのは驚異的としか言いようがない。それに読響独特の気品ある音色は本当に美しい。一橋の学生たちは50人以上も聴きにきていたようだが、どうやら色々と「ネタ」を仕入れたようだ。是非本番に生かしてください。何人かの団員と夕食。
9/11
午後からお仕事の相談事。引き続きあるリハーサルを見学。夕方はカイロプラクティック。それから旅行会社で航空券の手配。
9/12
夜、同世代の指揮者仲間4人で宴会。住んでいる場所も活動内容もてんでバラバラの4人がうまく集まれた。次にこの4人で集まれるのはいつかなあ。
9/13
プラハに持っていきたい資料を調達するためあちらこちらへと動き回る。航空券のほうも、3月下旬に完全帰国するまでの全てのフライトのEチケットを無事入手できました。
9/14
再び名古屋。本番会場の愛知県芸術劇場のコンサートホールで合唱のリハーサル。子どもたちはポテンシャルがとても高くて、練習をしながらどんどん良くなっていく。最後に2グループ合同で一緒に2曲ほど歌った。1200人の合唱団が客席で歌い、私が舞台から指揮をする。何も私ががむしゃらに振らなくても、当然のようにアンサンブルが1つにまとまる。これはなかなかできない感動的な経験で、練習が終わってホテルに戻ってもしばらくボーッとしていました。
9/15
ゲネプロそして本番。今回は大人数の出演なので運営も大変だと思うが、先生方と子どもたちの協力作業で会が予定通りスムースに進行しているのはさすがだ。演奏会は3部構成。第1部が小学生と中学生の同声合唱、第2部がオーケストラのみの出演、そして第3部が中学生の混声合唱。これに沿って実は出演者だけでなく聴衆も入れ替わる。まずは第1部出演の子どもたちの父兄。第2部を聴くのは主に出演する子どもたち。最後は第3部出演の子どもたちの父兄。それに従いそれぞれの時間の開演時間も厳密に時間で決められている。
これをつつがなく進行させるのはいかに大変なことだろう!
本番では、第1部、第3部ともに子どもたちの集中力がすごかった。彼らは私と練習で約束した全てのことを結果として出してくれた。そしてとにかくあれだけの人数なのにテンポが全く乱れない! たぶん私は本番中かなりニコニコとしていたと思うが、それは子どもたちの純度の高い歌声を体感する喜びゆえだったということももちろんあるけれど、むしろ子どもうんぬんは抜きとして、強く信頼できる共演相手と一体化できていることの感激ゆえだったと思う。
第2部ではスメタナやドヴォルザークについて、少しお話もさせてもらった。お話はいつも指揮の倍以上緊張して、なかなか上手にできず恥ずかしい・・・
名古屋フィルさんとの初めての演奏も、心に沁み入るものが多かった。私がお願いしたことを丹念に音化してくださったし、やはり本番はリハーサルとは違ったテンションの高い、それでいて上滑りにはならない充実した響きを出してくださって、振りながら「ああ、これが名フィルかあ。すごいんだなあ」などと思っていました。素敵なオーケストラとご一緒できて幸せでした。
それから名古屋フィルは事務局の方々のお仕事もとても丁寧で素晴らしいです。今回演奏会に至るまでかなりの量のメールのやり取りなどもしなくてはいけなかったので特に思います。
21時前には帰京。疲れていたけど何とかパッキングを済ませました。
今日の本番@愛知県芸術劇場コンサートホール
名古屋栄ライオンズクラブ15周年記念奉仕事業
〜小中学生の合唱と名フィルコンサート〜「響け! 未来へ」
名古屋フィルハーモニー交響楽団
名古屋市内小・中学校35校生徒による同声合唱団・混声合唱団
第1部:同声合唱
ボブ 佐久間:煌めきの未来へ
橋本 祥路 (arr. 葛谷 賢人):遠い日の歌
杉本 竜一 (arr. 岩本 渡):この星に生まれて
シベリウス:フィンランディア (詞:関 忠亮)
岡野 貞一 (arr. 佐井 孝彰):ふるさと
第2部:オーケストラ鑑賞
スメタナ:歌劇「売られた花嫁」 から
「ポルカ」「フリアント」「道化師の踊り」
ブラームス (arr. シュメリング):ハンガリー舞曲第5番 ト短調
ドヴォルザーク:スラヴ舞曲集第1集 作品46 第7番 ハ短調
ドヴォルザーク:序曲「謝肉祭」 作品92
第3部:混声合唱
ボブ 佐久間:煌めきの未来へ
スメタナ (arr. 岩河 三郎 / 岩本 渡):モルダウ
ミマス (arr. 岩本 渡):COSMOS
エルガー (arr. 葛谷 賢人):威風堂々 (希望と栄光の国)
岡野 貞一 (arr. 佐井 孝彰):ふるさと
9/16
4時起きでプラハに戻る準備の続き。コンビニでプラハに持って行く味噌汁やらカップラーメンやらお茶漬けやらを半ば衝動買いする。7時過ぎの新宿発成田エクスプレス。成田空港では雑誌各種をこれも半ば衝動買い。11時前のブリティッシュ・エアウェイズ便でロンドンヘ。2時間以上あったトランジットはスタバで時間潰し。プラハに着いたのは21時半頃。空港で夕食をとり、部屋に戻ったのは23時半。明日6時起きなのでダーッと荷解きをしてとにかく24時就寝。機中やトランジット中は思いっきり退屈なのに、その前後は思いっきり慌ただしい27時間でした。