2008年も今日でおしまいとなりました。今年1月1日の日記を読み返すと、今年は一体どんな年になるのか全く予測がつかないと書いてあります。これを書いた時、不安な気持ちで一杯だったことを思い出します。
確かに今年は予測し得なかったことがいくつも起こりました。しかしその多くは良い意味で、ということでして、この一年を振り返ると、恵まれた年であったということが言えると思います。
生活上のことでは、やはり無事にヴィザを取得出来たことはとてつもなく嬉しいことでした。このためにご尽力いただいた、在日本チェコ共和国大使館領事部の方々、そして何よりプラハの大家さん夫妻への感謝の気持ちは尽きることがありません。
お仕事関係のことでは、まさに予測し得なかったこととして、新国立劇場バレエ団公演の指揮を代役として任されたことが忘れられません。どのセクションも揃ってハイレベルなこの日本最高のバレエ団に温かく迎えていただき、共同作業の一員に加えていただけたことは、お世辞抜きで最高に幸福なことでした。オーケストラが東京フィルハーモニー交響楽団であったことも自分にとっては大切なことでありました。
今年はお仕事を最小限に抑えましたが、それでも群馬交響楽団、九州交響楽団、山形交響楽団に加えて、初めて名古屋フィルハーモニー交響楽団とご一緒させていただきました。素晴らしいオーケストラとのお仕事はいつでも嬉しく、大切な経験です。
大切な経験といえば、夏にイタリアのムジカ・リヴァ音楽祭でイザーク・カラプチェフスキー先生の教えを受けたことは自分に大きな影響を与えました。それからヨーロッパ各地への旅行も挙げないわけにはいきません。
コンクールは2つ受けました。4月、サンクトペテルブルクでのプロコフィエフ・コンクールはセミ・ファイナリスト止まりとなってしまいましたが、9月から10月にかけてのイタリア・トレントでのペドロッティ・コンクールでは第2位という過分な評価をいただくことができました。
ついついプラハでの日常のことを見落としてしまいますが、チェコ・フィルハーモニー管弦楽団で多くの指揮者のリハーサルを見学させていただいて、そこからさらに色々と自分の中で思考をめぐらせることによってじわじわと自分の中に生まれてきているものほど、今の自分が大切にしているものはないかもしれません。本当は私の日々の生活の中ではこのリハーサルの時間というものが一番面白い。しかしこれはオーケストラのプライバシーに関わることですからその詳細についてはここには書くのを控えています。
今年も数多くの方々の支えがあって生きてこれたことを感じています。たぶん、昨年よりも感じています! その分、冷淡な人々に対する怒りは減りましたかねえ。昨年の日記を見返すと、大分この手の人々のことを気にしていたようですが。もし自分が昨年よりもポジティブな気持ちで生活できている結果だとしたら、嬉しいことです。
皆さまどうぞよい年をお迎えください。来年もまたよろしくお願いいたします。