今日聴いたコンサート@ルドルフィヌム ドヴォルザーク・ホール
ケルン放送交響楽団演奏会
指揮:セミヨン・ビシュコフ
ソプラノ:ゲニア・キューマイアー
R.シュトラウス:交響詩
「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快な悪戯」
作品28
R.シュトラウス:ひそやかな誘い 作品27-3
R.シュトラウス:わが子に 作品37-3
R.シュトラウス:献呈 作品10-1
R.シュトラウス:あしたに 作品27-4
R.シュトラウス:わたしは小さな花束を編もうとした
作品68-2
R.シュトラウス:ツェツィーリエ 作品27-2
シベリウス:交響曲第5番 変ホ長調 作品82
アンコール/ビゼー:「アルルの女」作品23 第1組曲
第3曲「アダージェット」
アンコール/ビゼー:「アルルの女」作品23 第2組曲
第4曲「ファランドール」
今日の演奏の印象は、うまく文章にできませんが、ふっくらマイルドなサウンドに包まれて、ひたすら至福のひとときでした。オーケストラのモチベーションも高く、特にヴァイオリン・セクションの演奏姿勢には惚れました。アンサンブルはまるでCDを聴いているような安定感と完成度でした。
キューマイアーさんという方はムーティの指揮で「魔笛」のパミーナなどを歌われているそうですが、清らかな歌声で夢のような世界を見せてくれました。全くノー・チェックの歌手でしたが、これから色々探して聴いてみたいと思います。
「ツェツィーリエ」が、管弦楽版原調のEs-durではなく、ピアノ版のE-durで演奏されたのは初めて聴いたので意外でした。かなり印象が変わって聞こえます。確かに歌の音域は低いのですけれど・・・ ただ、1つ良いことが。この曲、ヴィオラに低いH音が頻発するのですが (C線を下げるように指示があります) 、E-durに移調すれば問題がなくなります。
シベリウスは緩急の差を大きくとった演奏。第1楽章の後半はながーいアッチェレランドになっていて、それをどう設計するかが指揮者としては大切なのですが、ビシュコフ氏はかなり早めの段階からテンポを上げていたので「それじゃ安易じゃん!」と思っていたら、違いました。最終目標値が私が思っていたより全然速かったのです。そのままどんどん速くなっていって最後はびっくりするような快速テンポでした。確かに演奏は可能なので (ティンパニ以外は) 、こういう可能性もあるのかと参考になりました。
第3楽章のおしまいの方はどんどん遅くなっていって、どうなっちゃうのかドキドキしていたら、最後の数小節でテンポがいきなり戻りました。最後のカデンツの部分、1つ1つのハーモニーがホールに長く響いて、心が震えました。
ビシュコフ氏の、ふくよかではったりのない、誠実で自分の心に忠実な音楽、華やかさを拒絶しているかのような、それでいて暖かいステージマナー、美しく上製本された楽譜 (!) 、全てが私の理想としている指揮者像のように思いました。
オーケストラの美しいサウンドに誘発されて、帰り道、自分の頭の中で鳴る音楽の音色までもが変化したような錯覚にとらわれました。