少し前に楽しんでさせていただいた仕事の依頼が来ています。私がプラハに来ているのをご存じの上でのお話で、こんなに有難い話はなく、正直心が揺らぎます。ただ時期的に私がプラハにいたい時期とばっちり重なっていて・・・ ここらへんが我慢のしどころでしょうか。あまりほいほい日本に帰るのは本意ではありませんし。
と言ってはおきながら、来月・再来月はチェコと日本を3往復します。お仕事、それにくっつけてヴィザ関係の用事、そしてチェコ・フィルが日本にやって来る、といった具合です。11月は日本で結構フリーの日がありそうで楽しみにしています。
今日は午前中にチェコ語のレッスン、さしあたってスケジュールが不安定なここしばらくは、大家さん夫人に継続してレッスンをしていただくことになりました。レッスン料も廉価にしていただいて大助かりです。
ただ、プレッシャーも大きい! お世話になっている方に、やる気がないとか、努力してないとか思われるわけにいきませんから! それに、お借りしている部屋をいつもきれいにしています! という小さなアピールもしとかなきゃ。んなわけで、レッスンの日の朝はかなり念入りに掃除機をかけてます。ちっちぇえやつだなオレ、と思いながら。
90分一本勝負のレッスンはかなり疲れます。チェコ語と同時にそれは実質英会話のレッスンでもあるのです。レッスン後は反動ですっかり気が抜けてしまいます・・・
今日はオーケストラはブルノに行っていますが、遠いのと、なにぶん知ったのが急だったので、プラハに留まって予定通り「プラハの秋」の演奏会に行くことにしました。ただブルノも絶対行ってみたい土地ではあります。
今日聴いたコンサート@ルドルフィヌム ドヴォルザーク・ホール
バンベルク交響楽団演奏会
指揮:ジョナサン・ノット
オーボエ:アルブレヒト・マイヤー
ベートーヴェン:「献堂式」序曲 作品124
ヴォーン・ウィリアムズ:オーボエと弦楽合奏のための
協奏曲 イ短調
アンコール/J.S.バッハ:カンタータ第156番
「墓に片足いれ」 から シンフォニア
アンコール/ニーノ・ロータ:映画音楽「ロメオジュリエット」
から テーマ
ブルックナー:交響曲第4番 変ホ長調 「ロマンティック」
アンコール/ワーグナー:歌劇「ローエングリン」
第1幕への前奏曲
昨日に引き続きバンベルク交響楽団の演奏会で、楽しみに出掛けました。
ベートーヴェンの出だしは極めて重厚な音の出でした (vvvvvvzzzzjjjjiiaaannn...!) 。これがドイツのオーケストラだ!という感じ。
ヴォーン・ウィリアムズの協奏曲はCDで聴いてもなんだかパッとしなかったのですが、今日の演奏を聴いて開眼しました。時折弦楽合奏からヒンデミットのような雰囲気が漂った気もしましたが! マイヤー氏の手にかかるとオーボエというのは実に演奏の簡単な楽器のように思えてしまうくらい、まろやかでスムースな演奏でした。オーボエというとみんなプーハープーハーしながら吹いているイメージがあるのですが、そういった奏法原理の難点も全く感じられなかった。さすが世界の最高峰は違うんですね。
マイヤー氏はベルリン・フィルに行く前はこのバンベルク響の奏者だったのですね。里帰りの暖かい雰囲気があったように感じました。
アンコールはマイヤー氏の簡素でユーモアのあるコメント付き。「とても短いから心配しないでね。聴けば何の曲だか分かります。」言って無伴奏で聴かせてくれたニーノ・ロータはしんみりと心に染み入りました。
後半のブルックナーの4番 (版にこだわって聴いたりしないのですが、おそらくノヴァーク版だったと思います) も素晴らしい演奏でしたが、少なくともこのホールではバンベルク響のトランペット・トロンボーンはいささか固めに聞こえてしまい、したがってどちらかというと弱音部分に聴きどころがありました。ただブラームスと違って、この曲では管楽器のうちのたった1人や2人のコンディションが悪いだけで演奏に与えるダメージが実に大きく、この曲の恐ろしさを改めて実感した次第です。
第2楽章の中程で私が演奏に引き込まれている時、私の左の席の若い女性が携帯メールを打ち出し (て、打ち続け) たのでかなりがっかりでした。第2楽章の終わりの息を飲むような弱音のあとには、「ピピ、ピピ」と携帯の着信音が・・・第4楽章の終止のいと美しく壮麗なハーモニーの余韻にも「ピロリロパラリロ」と、またもや携帯の音。勘弁してくれ!でした。
アンコールにこの曲を持ってくるとはびっくりでした。本日、シンバル奏者はこの曲のたった4発のためにご出演! 曲の終わりで携帯が鳴らなかったのが、本当に救い。