フランスのブザンソンで行われていた第50回ブザンソン国際指揮者コンクールで、シンガポール人のダレル・アン (Darrell Ang) が優勝しました。
前にもちょっと書いたことのある、4年前のポーランドの指揮者コンクールで、初めて彼を見ました。まるでムーティのように立ち姿と重心がしっかりしていて (もっとも、ご本尊は近年指揮ぶりが草書体になりつつありますが) 、リハーサルも要領がよくシンプルで、一指摘で必ずオーケストラから結果を出していく手腕に、これはすごい指揮者だなと感嘆しました。ほぼ全ての一次予選参加者を見ましたが、優勝は彼しかありえないだろうと、私は思っていました。
ところが、何とセミ・ファイナルで私とともに彼も敗退。自分のことはさておき、彼が落ちるなんて信じられませんでした。その日の夜、やはりセミで落ちてしまったポーランド人女性と彼と私で、食事に出掛けてあれこれ話したのも今となっては良い思い出です。彼は翌朝には、留学先のモスクワに戻っていきました。
彼は同時期の東京国際音楽コンクール<指揮>も受けていたので (やはり二次敗退) 、テレビで放映されたドキュメンタリーに出てきた数秒ほどの彼の指揮姿を、録画しては何度もそこだけ見たものでした。
そののち、ほかのどこかのコンクールで入賞したというのは知っていましたが、今回遂に優勝。コンクールに優勝したら絶対に才能のある指揮者であるとは、必ずしも言えないのだけれど、彼は本物の、真に才能のある指揮者であると私は確信しています。今後の活躍にご注目あれ。
今日の「プラハの秋」音楽祭は、イル・ド・フランス管弦楽団が来ていたのだけれど、残念ながらチケットは売切。うちでおとなしく勉強していました。
ブラームスの二重協奏曲は勉強したことがなかったので、比較的ゆっくりと見てみましたが (今回は頭と心に染み込ませるだけの十分な時間がなくて本当に残念!) 、是非いつかやってみたい曲ですね。でも、先日のくにたち室内管弦楽団の演奏会の打ち上げで、花崎夫妻に「じゃあ次はドッペルですね!」と言ったら、「ディーリアスのね」と言われてしまったからなあ (とりあえず次の日、タワーレコードに行ってディーリアスのCDも買って聴いてみましたよ。渋い・・・) 。