Diary


9/21

 午前中にチェコ語のレッスンがあり、今日までに覚えていなくてはいけない単語を山のように抱えていたので、どうも寝ながらも覚える作業をしていたようです。朝、まどろみながらも、頭の中では「okuruka (きゅうり) 、jablko (りんご)、chleba (パン) ・・・」などと唱えていました。おなかがすいていたわけではありません。


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 午後、聖ミクラーシュ教会に行って、しばし静かな時間を過ごしました。ここはかつてモーツァルトがオルガンを弾き、死後は追悼ミサが行われたという教会です。決して大きな教会ではありません。

 モーツァルトがこの地で活躍した時期の年齢と、今の私の年齢はほぼ同じ。今、毎日のようにモーツァルトが滞在していたエリアを通ります。だからなんじゃいなのですが、たまに思いを馳せます。

 「プラハの秋」音楽祭は、BBCウェールズ響の演奏会でした。


 今日聴いたコンサート@ルドルフィヌム ドヴォルザーク・ホール

 BBCウェールズ交響楽団演奏会

 指揮:ティエリー・フィッシャー

  ドヴォルザーク:スケルツォ・カプリチオーゾ 作品66
  ブリテン:フランク・ブリッジの主題による変奏曲
  ベルリオーズ:幻想交響曲 作品14
  アンコール/ (曲目未詳)


 指揮のフィッシャー氏は今度名古屋フィルの常任指揮者になる方。1957年生まれということなのでもう50歳なのですが、非常に若々しい指揮ぶりと音楽でした。もともとはチューリヒ歌劇場やヨーロッパ室内管弦楽団の首席フルート奏者だったそうです。

 オーケストラは、とにかく「巧い!」というのが第一印象です。指廻りもアンサンブルも、ここ数日聴いている他のヨーロッパのオーケストラに比べて、着ているものが2枚くらい少ない感じです。つまりそれだけフットワークが軽く感じます。音はとても明るくかつブレンドされていて、トゥッティのサウンドは爽快そのものでした。それにどの声部もクリアに聞こえてきたのも特徴的でした。今日に比べると他のオーケストラはどこかの声部がうねりの中に埋没しているような印象があります。

 ドヴォルザークは、決してアンサンブルが楽な曲ではないと思いますが、フィッシャー氏のかなり速めのテンポにもオーケストラが余裕で応えていて痛快でした。ブリテンのこの弦楽合奏曲は初めて聴きました。12-10-8-6-4の編成でしたがそうは思えないほどボリュームのある響きでした。ファースト・ヴァイオリンにかなり負荷のかかる曲のようでしたが、なかなか楽しめました。

 後半のベルリオーズでもオーケストラの機能性を楽しみました。この曲でもフィッシャー氏は速めのテンポで、アンサンブルの難しいところでもなりふり構わずぐんぐん進んでいっていたのですが、オーケストラが巧いので聴いていて何の不安もありませんでした。第1楽章や第4楽章の繰り返しはしっかり行っていました。今や当然のことのようになりましたが、それでも「そうだよねー、よしよし」と何故か喜んでしまいます。

 第1楽章の終わりで第2ヴァイオリンの首席の方の弦が切れてしまったのですが、サイドの方と楽器を交換したりせずに、足下から替え弦を取り出して第2楽章の演奏中に自分の席で弦を張り替えていました。3分ほどで演奏に復帰されていましたが、なるほどそんなやり方もあるのかと思いました。

 第3楽章のバンダ・オーボエは舞台中の奏者が移動して演奏。この楽章の後半では珍しくコントラバスが全員おちたところがありびっくりしました。しかもそのあと音を出した場所が3拍違ったため、ドミナントとトニックが混じってしまった・・・

 第5楽章の鐘はぶっといチューブラ・ベルによる低い音で演奏されていました。以前に自分が演奏した時、打楽器レンタル屋さんの倉庫まで出掛けて、一時間弱ほどあれでもないこれでもないと悩んだことがあるのですが、今日みたいな楽器があったらよかったのになあ。

 アンコールは非常にアーノルド的な、まことアーノルド的な曲だったのですが、部屋に戻ってきて自分のパソコンに入っているアーノルドの曲を全部調べてみても同じ曲が見つかりませんでした。こちらでは日本みたいに丁寧にアンコールの曲目が掲示されたりしないので、ちと残念です。

 来年の7月、フィッシャー氏は名古屋フィルとも「幻想交響曲」を演奏するようですね。どんな演奏になるのでしょうか。

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