Diary


9/18

 今日聴いたコンサート@ルドルフィヌム ドヴォルザーク・ホール

 ロシア国立交響楽団演奏会

 指揮:ヴァレリー・ポリャンスキー
 ピアノ:アレクサンドル・ギンディン

  プロコフィエフ:歌劇「3つのオレンジへの恋」組曲
                        作品33a
  プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番 ハ長調 作品26
  アンコール/プロコフィエフ:4つの小品 作品4
                    第4曲「悪魔的暗示」
  プロコフィエフ:バレエ「ロメオとジュリエット」
        第1組曲 (作品64a) / 第2組曲 (作品64b) から
   a) 「モンタギュー家とキャピュレット家」 
                   (第2組曲第1曲)
   b) 「少女ジュリエット」 (第2組曲第2曲)
   c) 「僧ローレンス」 (第2組曲第3曲)
   d) 「メヌエット」 (第1組曲第4曲)
   e) 「仮面」 (第1組曲第5曲)
   f) 「アンティーユ諸島から来た娘たちの踊り」
                     (第2組曲第6曲)
   g) 「ロメオとジュリエット」 (第1組曲第6曲)
   h) 「タイボルトの死」 (第1組曲第7曲)
  アンコール/ (曲目未詳)
  アンコール/チャイコフスキー:
     歌劇「エフゲニー・オネーギン」 作品24 から
                      「ポロネーズ」


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 かつてスヴェトラーノフとのコンビで親しまれていたオーケストラによる、オール・プロコフィエフ・プログラムです。

 今日は満員でした! 実は昨日の同じオーケストラの演奏会は売り切れでチケットが手に入らなかったのですが、ここではこのオーケストラはすごい人気なのですね。テレビも入っていました。

 ロシアのオーケストラはやはり個性的ですね。演奏者はあまり身体を動かさず、自発性を持って演奏するというよりは、司令官のもと、びしっと縦を揃えるといった感じで。言い訳なしのピリカラ・アンサンブルを聴かせてくれました。音質も極めて硬質で、響きも長く残りません。和声の豊潤さが醸し出されることもありません。そんな甘いことなど許されない感じ。弦楽器がたくさん弾いているように見える割には、ホールに響いている感じがしないのは、よく言われるように楽器のクオリティの問題なのでしょうかね・・・

 ポリャンスキー氏 (背が高く、指揮台なしでした) の指揮のスタイルは、ロシア人に多い、譜面台を高く上げて、しっかり楽譜を見ながら振り、技術的にもあまり多くの手段を使わず (オーケストラが遅れることの多い3番のピアノ協奏曲を、ほぼ全て「叩き」で押し通したのには唖然としました) 、曲の決め所では格好良く! みたいな感じでした。少しユーリ・シモノフ氏の指揮ぶりに似ているところがあるなと思いました。

 あまりのピシピシした演奏に、「3つのオレンジへの恋」の「行進曲」を聴きながら、「これじゃあレモンだあー」とか、くだらないことを考えておりました。

 ピアノのギンディン氏は、すごいテクニックを持っているように思いましたが、私の席 (正確に書けば席ではない。今日は2階最後尾で立ち見) まではピアノの音がそれほどクリアに聴こえなかったのが残念でした。

 後半の「ロメオとジュリエット」では、ポリャンスキー氏の個性爆発。「マスク (仮面) 」のテンポは今まで聴いたどんな演奏よりも、ぶっちぎりで速い演奏でした。とどめは「タイボルトの死」の15連打のところ。まず、がくっとテンポを落とす。そしてどんどん遅く。8・9・10発目のあたりで急にアッチェレランド。それからまた大リタルダンド。最後はいつ次がくるんだと思うくらい。要するにセンツァ・テンポなんですね。もう少しで声を出して笑ってしまうところでした。

 そのほかにも、サックス・ソロのありえないくらいの大音量、「タイボルトの死」の15連打と1発目と2発目の間でウッド・ブロック暴発、同曲最後の斧を思いっきり振り下ろしたかのようなトゥッティ音など、色々と記憶に残ることがありました。

 聴衆大興奮。コンサート・マスター大喜び。笑いながら「もうアンコールなんてしないよー」みたいな雰囲気で、楽譜のファイルを閉じたりもしながらも、2曲ほどアンコールを演奏してくれました。1曲目の曲が面白かったんだけど、残念ながら曲名が分からず。速い2拍子のト長調の曲で、曲が始まってすぐにチューニングを模したようなフレーズがちょっとあって、タンバリンやグロッケンシュピールなど打楽器も華やかな曲だったのですが・・・

 最後は聴衆総立ちスタンディング・オベーション。これもかなりびっくりでした。日本だったらこんなには盛り上がらないのでは。チェコ人の好みというのはまだつかめません。

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