Diary


12/7

 午前中は大英図書館へ。展示室には音楽関係のものもあって、これは本当に本物の自筆譜か?というようなものがこれでもかと展示されていました。中でも目を凝らしたのはマーラーの「原光」の最終ページ、それからラフマニノフの交響曲第2番第4楽章の一部。どちらも作曲者の書き込みがあって、特にラフマニノフの方はカットや対旋律の追加などがあって非常に興味深かったです。


 この建物の中心には、古そうな書籍が柱のように上から下までどーんとディスプレイされていて圧巻です。ハードカバー好きの私としてはたまりません。

 建物だけでも見ようと、プロムスで有名なロイヤル・アルバート・ホールへ。音楽院のすぐ近くにあるんですね。どでかい建物だなあ。ちょうど今、ホールでははテニス (!) が開催されているとのこと。色々な用途に使われているんですね、ここは。

 次いでサウスバンク・センターのロイヤル・フェスティバル・ホールへ。どうでもいいことですが、1階に <Wagamama> という名前のレストラン (?) があって気になりました。ここでまたチケットを入手。

 昼食後はサウスバンク・センターからピカデリー・サーカスの方へ歩いてみました。ピカデリー・サーカスにはHMVやヴァージン・メガストアがあるので覗いてみましたが、特に収穫はなし。ヴァージンのナクソス・コーナーは異様に広いスペースがとられていたのが印象的。

 そこからまた結構歩いて、ヘンデル・ハウスという、ヘンデルが住んでいた家を博物館にしたところに行きました。構造が分かり辛い! まずエレベーターで2階に昇って、映像を見ます。これしかないのかな? と思って1階に降りて売店に入ると、係員の人に「上の寝室は見ましたか?んんん?」と言われたので良く聞いてみたら、映像の部屋の奥に扉があってその奥に寝室があるとのこと。戻ってみると、確かにドアはありました。普通の、気付かないようなものが・・・ 奥は2間あって、しかしはっきり言って大したものは何もありませんでした。最初の部屋には、多くの肖像画〜ヘンデルのものはではありません〜がかかっていました・・・ そのさらに奥、寝室だったというところにはベッドがあったので、しきりにあくびをしている別の係員の人に「これはヘンデルが実際に使っていたベッドですか?」と聞いてみたら、「いやあ、違うねえ、でも大体同じ形のやつだよ、ふわああ」とのこと。そうですよね・・・

 1階に降りました。この建物、実にボロっちいがこれが良い! 照明も間接照明だけでかなり暗いし、床はボロボロ、階段も怖いくらいでした。あまりに床がギシギシ言うので、さっきの、このフロアの係員の人にどのくらい昔の床なのか聞こうとしたら、彼のほうから「何度も直していてねえ、んんん」と話しかけてきました。っていうか、直していてこれかよ!という代物です。少しお話を伺うと、この建物は最近までオフィスとして使われていたものを1990年代初頭に買い取って、出来るだけヘンデルが住んでいた当時風に直したものだということ。床もわざと当時風にしているのかどうかは謎ですが・・・ でもかなり古い雰囲気を感じることが出来るのは確かです。一つ一つの部屋は6畳ほどでしょうか。広くはありませんが、複数の建物をほぼ全て借りていたようで、部屋数が多く、全体としてはそこそこの広さになります。ヘンデルがここで練習をしたという部屋は通りに面していました。レプリカのチェンバロを眺めながら、当時の様子をしばし想像しました。その隣の部屋は作曲をした部屋、ということになっていますが、他のお客さんが質問していたのを盗み聞きしたところ、係員さんが「いや、本当はここじゃなくてね、この裏なんだけどね、んんん」と言っていました・・・

 そんなわけで、個性的な係員さんたちとボロボロの建物が印象に残るヘンデル・ハウスでございました。きらびやかな建造物や美術、豪勢なブランド品のショッピングに疲れた際の隠れたロンドン観光の目玉としてお勧めします!?

 街はものすごい人だかり。乗ろうとしていた地下鉄の駅がどういうわけか閉まっていて長蛇の列が出来ていたので、一駅分歩いて、そこから再びサウスバンク・センターへ。

 実は今日はバービカン・センターのハーディング指揮ロンドン響の演奏会のチケットもおさえていたのですが、こちらロイヤル・フェスティバル・ホールではラトル指揮の演奏会のチケットがおさえられたので思い切ってハーディングのほうは捨て券にしてしまいました。こんなことは初めてです。


 今日聴いたコンサート@ロイヤル・フェスティバル・ホール

 オーケストラ・オブ・ジ・エイジ・オブ・エンライテンメント演奏会

 指揮:サー・サイモン・ラトル

 ソプラノ (ペリ):サリー・マテューズ
 ソプラノ (少女):ケイト・ロイヤル
 メゾ・ソプラノ (天使):ベルナルダ・フィンク
 テノール:マーク・パドモア
 テノール (若者):ティモシー・ロビンソン
 バス (ガツナ):デイヴィッド・ウィルソン=ジョンソン

 エンライテンメント合唱団

  シューマン:オラトリオ「楽園とペリ」 作品50


 名前しか聞いたことのない作品で、聴くのは全く初めて。安い当日券でこんなレベルの演奏が簡単に聴けるなんて幸福。ソリストもオーケストラも合唱もそれはそれは夢のように美しく、気がつくと本当に自分は夢の中に・・・・・・

 まったく、自分を呪いました! 時差ボケがなければ、あんなに街中を歩いて疲れていなければ、作品を識っていれば! 何とか眠らずに聴きたいと頑張りましたが、知らないうちにまたこっくりこっくり・・・

 なので今日は感想は差し控えます。

 色々な意味でショックを受けてホテルに戻りました。

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