今日聴いたコンサート@ルドルフィヌム ドヴォルザーク・ホール
チェコ・フィルハーモニー管弦楽団定期演奏会 (CDチクルス第4回 / 第1日)
カレル・アンチェル生誕100周年記念演奏会
指揮:ズデニェク・マーツァル
オルガン:ペトル・ライノハ
ハープ:カテジーナ・エングリホヴァー
ティンパニ:ペトル・ホルブ
ハヌシュ:オルガン、ハープ、ティンパニと弦楽器のための協奏交響曲 作品31
マーラー:交響曲第1番 ニ長調 「巨人」
ホールに着くと、「カレル・アンチェル100」という小冊子が無料配布されていました。今年はアンチェルの生誕100周年なんですね。年譜、いくつかの写真 (日本公演で学生にサインをしている写真も) 、それから彼が1967年に聴衆について語ったインタヴューが掲載されています。コンサート会場で配るには非常に適していますね。幸いにも英訳があったのでぱらぱらと読んでみたのですが、内容はアンチェルがコンサート会場での様々なタイプの聴衆について語っているもので、まずは「せきをする人たち」に始まり、「歌手」「指揮者」「コンサートにスコアを持ってくる人たち」「古臭い考えの人たち (第一次世界大戦以前の作品を認めない人たち)」「宇宙飛行士 (その逆) 」「自国のアーティストを決して認めない人たち」「寝る人たち」と続いて、最後に「大多数の人たち」として、「音楽を愛していて、コンサートで音楽を聴くのを本当に大切にしている人たち」を挙げて締めくくっています。とても面白い文章です。
このことを書いたのは、「せきをする人たち」で、アンチェルが、音楽がピアニッシモであろうと全く構わずに大きな音でせきをする人たちのことを挙げたあと、「とても興味深いこと」 として、日本人のことを話していたからです。適当に訳すと「鼻水やせきが出るならすぐに、彼らはマスクをする。それは第一に周囲の人たちを感染させないためだが、せきで彼らの鑑賞を邪魔しないためでもある」ときて、「それはとても美しい特質である」と大絶賛しています。万歳!! そして「もちろんここ (プラハ) でそれを紹介するのは難しいだろうが、私はハンカチを当てれば十分だと思います」とまとめています。
前半に演奏されたハヌシュ (1915-2004) の協奏交響曲 (1953-54年作曲) はアンチェルに献呈されていて、彼が世界初録音を行っています (Supraphon の Karel Ancerl Gold Edition Volume 11 に入っているようです。私はリサーチ不足で知りませんでした) 。それ故に今回のプログラムに選ばれたのでしょうか。本日のソリストのうち、ティンパニのホルブさんはチェコ・フィルの奏者で、後半のマーラーでも第2ティンパニ奏者として出演されていました。チェコ・フィルの2人のティンパニ奏者はどちらも透き通った美しい音色をお持ちで私は大好きです。
作風としてはそれほどソリストたちの妙技が表立つようなものではありません (さすがにオルガンの存在感は極めて大きいですけれども) 。私の知るほんのわずかな彼の他の作品同様、この曲も完全な調性音楽です。聴いていて楽しめる作品なので、日本にも紹介されても良いのではと思いました (演奏されたことがあるのかどうかは全く知りません) 。ただし、演奏は容易くはなさそう。特に終楽章のフーガは相当気合いが入っていて弾くのも大変なのではないかと思いました。
後半のマーラーについてはまた明日書きたいと思います。