今日観た公演@プラハ国立歌劇場
ドヴォルザーク:歌劇「ルサルカ」 作品114
指揮:フランティシェク・ドルス
演出:ズデニェク・トロシュカ
ルサルカ:クリスティーナ・ヴァシレヴァ
王子:ヴァレンティン・プロラト
ヴォドニーク:ロマン・ヴォツェル
魔女:アンドレア・カリヴォドヴァー
外国の王女:イヴェタ・イルジーコヴァー
森の番人:ルボミール・ハヴィアーク
料理人の少年:アレーナ・ミロ
第1の森の精:ハナ・ヨナーショヴァー
第2の森の精:シルヴァ・チュムグロヴァー
第3の森の精:ジャナ・レヴィツォヴァー
狩人:ヴァーツラフ・シベラ
プラハ国立歌劇場管弦楽団
プラハ国立歌劇場合唱団 (合唱指揮:トヴルトコ・カルロヴィチ)
プラハ国立歌劇場バレエ団 (振付:ダナ・モラーフコヴァー)
遂に「ルサルカ」を観る機会を得ました。ビェロフラーヴェク氏の指揮による国民劇場の公演のヴィデオを見て予習してから出かけましたが、この国立歌劇場のプロダクションは、演出面ではほとんど国民劇場のヴィデオと同じようなものでした。さすがにこの演目はそんなにいじれないのでしょうか。ただ大きく違ったのは、今日の演出家トロシュカ氏が映画監督であるとのことで、美しい映像が効果的に使用されていたことでした。
今日はオーケストラも合唱団も響きがいつもと全然違いました。まるで別の団体かと思ったほど。やはりこのレパートリーは特別なのでしょうか。指揮のドルスさんの指揮姿は今日初めて拝見できましたが、最小限の動きながら見ていてすごく安心感を覚える指揮で素晴らしかったです。
役名中「ヴォドニーク」というのは訳に困ります。「ヴォダ」は「水」のこと。最も一般的な訳は「水の精」だと思いますが、実際には「精」なんていうかわいらしいものではなくて、どちらかというと「妖怪」です。全身緑で「河童」とも訳されることもありますが、日本の河童のイメージとも違います。このオペラでのヴォドニークは、ルサルカの父親であり、王子に呪いをかけるという存在。ドヴォルザークの交響詩でのヴォドニークも恐ろしい。一方、チャペックの童話なんかではもう少し親しみのある存在として描かれています。
ドヴォルザーク晩年の音楽は、アメリカ時代のものと比べてもかなり違います。個人的には、生気がいささか減退したかわりに何とも言えない枯れた味わいがあると感じます。それから、交響詩で磨いた情景描写の技法がこの「ルサルカ」に生かされているさまを、今日は生で体験できました。
今日のBGM: ドヴォルザーク:歌劇「ルサルカ」から「月に寄せる歌」
リタ・シュトライヒ (Sop.) 、クルト・ゲーベル指揮ベルリン放送交響楽団
(1958年録音、Deutsche Grammophon)