今日聴いたコンサート@ルドルフィヌム ドヴォルザーク・ホール
チェコ・フィルハーモニー管弦楽団定期演奏会
(CDチクルス第5回 / 第1日)
指揮:小林 研一郎
ブラームス:交響曲第4番 ホ短調 作品98
ドヴォルザーク:交響曲第9番 ホ短調 作品95 「新世界より」
マエストロらしい、ダブル・メインなプログラムです。
前半のブラームスはじっくりとしたテンポと音色が実に味わい深く。特に第2楽章の弱音部の美しさには惚れ惚れとしてしまいました。ヴィブラートをかけたクラリネットの魅力全開!
「新世界より」、マエストロのリクエストを全て受け入れて、かつそれを彼らの美意識にしたがって最高に美しい形で聴衆に提示するオーケストラの度量の広さ、マエストロへの信頼の念に感激しました。長い共演歴を経て結実した成果をはっきりと音で感じることが出来ました。
あと2日間、同じプログラムで本番があります。
ここからは私事です。
来月末、新国立劇場のバレエ公演を振らせていただくことになりました。ロビン・バーカーさんという、イギリスの指揮者の方の代役です。
まるで奇跡のようなタイミングでお話をいただきました。
現在、ヴィザがおりないため、プラハでの滞在日数が限られています。そこでオーケストラがアメリカに長期の演奏旅行に出かけるタイミングに合わせ、今月20日に東京に戻ることになっていました。
東京のチェコ共和国大使館とのお話が結論を見ていないため、確実なことは言えませんが、しかしおそらく、東京に戻ってヴィザの再申請の手続きをすることになるだろうと思っています。
しかし、ヴィザというものはそんなにすぐおりるものではありませんし、例えばこの日におりるとか、そういったことが前もって分かることでもありません。
ですから私は本来であれば、3月中は東京でいつおりるのだか分からないヴィザを待ちこがれながら、鬱々と過ごさざるを得ないはずだったのです。覚悟を決めて、譜読みと読書に没頭するつもりでした。
そんな折に、全く予期せず今回のお話をいただいたのです。これを奇跡的というよりほかにどのような形容のしかたがあるでしょうか!
公演は3月末ですが、今月中には東京での打ち合わせが、来月初旬からは稽古に没頭することになりそうです。感謝の気持ちを感じながら、公演の成功に微力を尽くしたいと思っています。
別の話です。今日の夕方、ある指揮者コンクールのプレ・セレクションというのを受けてきました。世界数カ所でこのセレクションが行われているのですが、幸いなことにプラハでも開催されたのでした。少しの時間、弦楽六重奏団をお相手に、ブラームスの弦楽六重奏曲第2番の第1楽章と、セラフィーニさんというイタリアの作曲家によるこのセレクションのための新曲、<I'll trouble ... your night> (このタイトルに、楽譜を夜な夜なひいこら言いながら譜読みする若い指揮者志望の人たちを前にした作曲家の高笑いを感じたのは、決して私だけではないはず!!) という、いささか譜読みが小難しい曲をリハーサルしました。
自分の能力の及ばなさと、限られた時間の中で自分を上手にプレゼンテーションすることの難しさを感じた時間でした。150人を超えるといわれる全世界の応募者の中から次のステップに進めるのは最大でも35人。5倍近い倍率です。自分はコンクールのようなものには縁はないと思っていますが、とにかく言い訳せずに結果を待ちます。
コンクールでは偶然後輩に再会、そういえば昨日はカレル橋上でかつての勤務先での生徒さんにもばったり出くわしました。いやいや、どこで誰に会うか分かりません。
今日のBGM: ブラームス:交響曲第4番
アントニオ・ペドロッティ指揮チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
(1957年録音、Supraphon)