今日観た公演@プラハ国民劇場
ビゼー:歌劇「カルメン」
指揮:ズビニェク・ミュラー
演出:ヨセフ・ベドナーリク
ドン・ホセ:ヴァレンティン・プロラト
スニガ:アレシュ・ヘンドリフ
モラレス:イルジー・クビーク
エスカミーリョ:ヴラティスラフ・クジーシュ
ダンカイロ:ウラディミール・ドレジャル
レメンダード:ヤン・イェジェク
カルメン:ヨラナ・フォガショヴァー
ミカエラ:イトカ・スヴォボドヴァー
フラスキータ:マリエ・ファイトヴァー
メルセデス:スタニスラヴァ・イルクー
プラハ国民劇場管弦楽団
プラハ国民劇場合唱団 (合唱指揮:パヴェル・ヴァニェク)
キューン児童合唱団 (合唱指揮:イルジー・ハヴァーラ)
プラハ国民劇場バレエ団 (振付:リボル・ヴァツリーク)
アルコーア版のレチタティーヴォ・ヴァージョン (音からの判断です) による原語上演。チェコ語でちょっと聴いてみたかったのですが、さすがに原語でした。休憩は2幕のあとの1回のみで、3・4幕はカット多し。19時開演で21時50分終演というのは「カルメン」としては驚異的な上演時間の短さ。スタートしたら帰宅に向けてまっしぐら!的な雰囲気に感じられてしまいました。そこまでしなくても・・・とは思いますが、上演時間が3時間を超えたり、終演が10時を過ぎたりすると、オーケストラや合唱団に追加の手当を払わなくてはいけないのかもしれませんね (さすがにそんな理由じゃないかな?) 。
チェコ語を話す人たちにとってフランス語は遠い言語なのではと思いますが (日本人にとってのフランス語よりはましか・・・) 、予想通りフランス語の発音の質には、私が聞いても分かるほどにかなり個人差がありました。特に合唱団が、ビゼーがわざわざ音を当てている、あいまい母音にして発音すべき語尾の部分が、口語調に母音なしにしているように聞こえたのにはかなり違和感を覚えました (少し専門的な話で申し訳ありません) 。
演出はおそらく目で楽しんでもらうことを第一義にしているようで、人物像などについては私には把握できませんでした。良く理解できない場所にバレエが登場していましたが、グラマラスな女性風ダンサーが実は男性だったりとか、理解に苦しむギャグ (?) もありました。
このプロダクションの初演時の指揮者はビェロフラーヴェク氏だったようです。プログラムに、なんと彼が子供の時、今日も公演に参加していたキューン児童合唱団の一員として、ここ国民劇場の「カルメン」に出演していたこと、自分の出番のあとは許されて舞台裏で公演を観ていたことが、彼自身の言葉で綴られていました。
今夜の指揮者ミュラー氏はビェロフラーヴェク氏に師事されていたよう。ちょっとした歌とのテンポのずれの修復に長けていました (あくまで主観ですが、今夜は2名ほどの歌手が特にオーケストラと指揮者を無視して気侭に歌っていました。ミュラー氏には心より同情いたします) 。驚いたのは「アラゴネーズ」のテンポの速さ。しかもタンバリンが棒よりさらに前に流れがちでスリリングでした。この曲に関しては自分もどちらかといえばテンポが速いほうですが、とても敵いません (勝負じゃない!) 。間違いなく世界最速レベルのテンポでしたが、この劇場ではいつもこのテンポでやっているのか、オーケストラは当然のように弾いていました。
その他のこと。日記に書いてはいませんが、チェコ・フィルのリハーサルでは引き続き多くを学ばせていただいています。明日・明後日はサー・ジョン・エリオット・ガーディナー氏の指揮による演奏会です。チェコ語のレッスンは、先週はバタバタしていたのでお休みにしてもらいましたが、今日の夕方から再開しました。でも、あと1回受けたらもう日本かな・・・