Diary


2/15

 今日聴いたコンサート@ルドルフィヌム ドヴォルザーク・ホール

 チェコ・フィルハーモニー管弦楽団定期演奏会
                    (EFチクルス第5回 / 第2日)

 指揮:サー・ジョン・エリオット・ガーディナー
 ヴァイオリン:ヴィクトリア・ムローヴァ

  ベートーヴェン:バレエ音楽「プロメテウスの創造物」 作品43 序曲
  プロコフィエフ:ヴァイオリン協奏曲第2番 ト短調 作品63
  アンコール/J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ
                        第2番 ニ短調 BWV 1004 第3曲「サラバンド」
  ベートーヴェン:交響曲第3番 変ホ長調 作品55 「英雄」


 定期演奏会の2日目。今日はコンチェルトのあとにアンコールがありました。

 ムローヴァさんの音は、暖かいと同時に俗世と断絶しているかのような神々しさが感じられ、その解析できない音の美しさに私は不思議な気持ちになりました。特にアンコールではその気持ちが強くなり、部屋を暖めている暖炉の中の薪を見つめた時に、その薪がかつて一本の木として立っていた極寒の地の空気を心の中に感じるようなその音色は、もしかしたらムローヴァさんの人生そのものを語っているのだろうかと、勝手な想像をしながら聴いていました。

 深い感銘を受けました。

 後半の「英雄」は、基本的にはオルケストル・レヴォリューショネル・エ・ロマンティークとの録音と同じ解釈のように感じました。冒頭の和音も叩きつけるような鋭さでしたが、ホールの豊かな残響にその音が溶けると、ベートーヴェンの意思の気高さを感じることができました。

 全体を通じてその特徴が際立っていたのはホルンとティンパニでした。ホルンはナチュラル・ホルンを使用していないにもかかわらず自然倍音でない音をわざわざゲシュトップで吹いていました (極めて部分的ですが、ゲシュトップにしていないところもありました) 。その金属的な音は生で聴くと録音で聴く以上に極めて刺激的です。またティンパニも硬質の撥でかなり強烈なボリュームで叩いていたところがあって、その衝撃度たるや私が今まで聴いたことのないほどのものでした。

 カーテンコールでは、客席一階部分のほぼ全員がスタンディング・オベーション。熱の入った充実したコンサートに立ち会えて幸福でした。

 その他、夕方にはチェコ語のレッスン。今後かなり間が開くので、先生にはとにかく忘れないようにと釘を刺され、週に一度、宿題のメールを出すと言われてしまいました。全く怠けられません。


今日のBGM: ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」
  ジョン・エリオット・ガーディナー指揮オルケストル・レヴォリューショネル・エ・ロマンティーク
                                      (1993年録音、Archiv)

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