Diary


4/25

 一転して今日は冷え込んだ空気で、気付けば雨まで降ってきて、日中はかなり寒かったです。とはいってもサンクトペテルブルグに比べれば温かいですけどね。


 雨の中ルドルフィヌムのボックス・オフィスに行ってチケットを買い漁りました。来月から始まる「プラハの春」音楽祭、2月までプラハにいた時はまた戻ってこれるかが分からなかったのでチケットを買い控えていました。既に売り切れのコンサートもあって、中でもアルフレート・ブレンデル (今年で引退!) のピアノ・リサイタルとテミルカーノフ指揮サンクトペテルブルグ・フィルの演奏会のチケットが買えなかったのは痛恨の極みでした。

 今日は微妙についてないことがいくつかあって、チケットをクレジット・カードで買おうとしたら「機械が壊れている」と言われ、最寄りの Bankomat で引き出そうとしたらこちらも <Out of Service> となっていて、ほかの Bankomat を探し求めてふらふら歩き回るはめに。それから、地下鉄やトラムのクーポン (一定期間乗り放題になるもの) を買おうと、販売している地下鉄の駅に行ったら (大きい駅でしか売っていないのです) 、またもや「機械が壊れている」と言われてほかの駅にい出向くはめに。でも結果としてはチケットもクーポンも無事手に入りました。

 夜は再びルドルフィヌムにチェコ・フィルの演奏会を聴きに出掛けました。雨も止み、気温も昼間よりむしろ少し温かくなっていて外出も快適でした。ホールのカフェやクロークの方々も憶えてくださっていて嬉しかったです。何故かクロークのおじちゃんと握手してしまいました (笑)


今日聴いたコンサート@ルドルフィヌム ドヴォルザーク・ホール

 チェコ・フィルハーモニー管弦楽団定期演奏会
                    (CDチクルス第7回 / 第2日)

 指揮:ズデニェク・マーツァル

  モーツァルト:交響曲第29番 イ長調 KV 201
  バーンスタイン:映画「波止場」からの交響組曲
  チャイコフスキー:交響曲第4番 ヘ短調 作品36


 久しぶりに聴くチェコ・フィルの音色は言葉に尽くせないほど美しく、またドヴォルザーク・ホールの音響の素晴らしさにも改めて感激しまくりでした。このホールでは奏者から発せられた音が空気に溶け込んで、天に昇っていくさまを感じることができます。

 これだけ感激したのは、実際それぞれの曲の演奏が充実していたからでもあります。モーツァルトはマーツァル氏のテンポ設定が絶妙で、引っかかりなくオーケストラの甘いサウンドに浸ることができました。

 バーンスタインは予想していたよりもはるかにアンサンブルがしっかりしていて、変拍子の部分も安定した充実感あるサウンドが出ていました。シリアスな内容の音楽ですが音楽語法的には大変解り易いので、もっと演奏されて良い作品だと思います。というか、私この曲大好きで、スコアも映画のDVDもプラハに持ってきているくらいです。

 チャイコフスキーの4番は派手な表情やテンポは一切避けながらも、自然なアゴーギグと要所要所でのはっきりとした表情付けがなされていて説得力がありました。マーツァル氏はオーケストラに多くを任せていたように見えましたが、それがうまくはたらいて、それぞれの奏者がとても音楽的に演奏していました。

 第4楽章の第2主題を聴きながら、ロシア美術館で見た、刺繍をしている女性が疲れきって手を休め、物思いに沈んだような表情を浮かべている絵や、クリミア戦争の激しい前線を描いた絵などを思い出しました。今夜の演奏は、ロシア独特の憂鬱さを、過度な感情移入を避けることでうまく出していると思いました。

 今日はほぼ全聴衆がスタンディング・オベーション。1月のマーツァル氏の定期ではこんなことは無かったので、やはり今日は良かったのだと思います。マーツァル氏もご機嫌な様子に見えました。


BGM: バーンスタイン:映画「波止場」からの交響組曲
    レナード・バーンスタイン指揮ニューヨーク・フィルハーモニック
                       (1960年録音、Sony Classical)

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