
8日に秋葉原で起こった通り魔事件の犠牲となり、お亡くなりになられた7人の方々に心より哀悼の意を捧げます。また負傷された10人の方々の一日も早い回復を願います。
事件が起こった場所は私が東京に住んでいた頃は非常にしばしば足を運んでいたエリアであり、また被害者として亡くなった方々のうちの1人に芸大生だった武藤舞さんがいらしたということもあり、全く他人事ではない気持ちです。
様々な社会的環境の変化の結果、殊に近年は心を病まずに生きていくのが難しくなってきていると感じざるを得ません。様々な記事などを読んでいますと、この事件はまさにそうした現代の社会のとある一面を抉って見せているような気がしてきます。
そのような時代の中で、私たち音楽家は社会に対してどのような貢献が出来るのかをより自らに問うていくべきではないでしょうか。その意味において、数年前芸大に「社会と音の関係を考察できる人材を育成する」 (芸大ホームページより) ことを目的とした音楽環境創造科が設置されたのは、いわば必然であったと思われます。そしてその音楽環境創造科こそは、武藤さんが学ばれていた学科でありました。
私たちの演奏する音楽が、1人でも多くの人の心の傷を、歪みを、迷いを、孤独を癒し、なんとかして今回の事件の犯人のような人間を生み出さないために、それは本当に微々たる力かもしれないけれども、より私たちが積極的に社会に音楽を振りまいてゆく、そのようなことで、せめて武藤さんをはじめとする犠牲者の方々の死を無駄にしないようにできれば、と思います。