朝は早くは起きられず。
午前の遅い時間、チェックポイント・チャーリー館 (「壁」の博物館) へ。
旧西ベルリンと東ベルリンの境界近くにあるこの建物の窓からは、当時は検問所がよく見えたといいます。ベルリンの壁が造られた当時の様子、それから、東側から西側への脱出に使われた様々な方法が展示してありました。トンネルはもちろんのこと、自動車のトランクの中やスピーカーの中にまで隠れて西側へ逃げたのですね。どの方法も非常に手が込んでいて、それほどまでにして脱出したかったのか、とつくづく思い知らされました。失敗すれは命を失う行為、私が当時の東ドイツに住んでいたらどうしたでしょうか・・・想像もつきません・・・
後輩N氏と待ち合わせて旧ナショナルギャラリーへ。様々な芸術に素養のある彼に色々と教わることが多かったです。この美術館にはライプツィヒにもあったベックリンの「死の島」の別ヴァージョンがありました。休憩なしで2時間ほどかけてもとても全てをゆっくりは見きれないほどの量がありました。素晴らしい〜というのは、美術鑑賞初心者の私にとっては、それを見た時に五感が喚起される、という意味なのですが〜絵画はたくさんありましたが、中でも歩き疲れてヘトヘトになった頃に見たメンツェルの、有名なフリードリヒ大王がサンスーシー宮殿でフルートを吹いている絵は実物に触れた感激が残りました。
ここでさらにここベルリンで勉強をしている後輩T氏と合流して、N氏お勧めのロシアン・レストランで軽い食事とお茶を。話題は尽きず、思ったよりも長時間過ごしてしまいました。
夜は後輩2人とは別れて、ベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団の演奏会を聴きに行きました。
今日聴いたコンサート@ベルリン コンツェルトハウス 大ホール
ベルリン・コンツェルトハウス定期演奏会
指揮:アレクサンダー・ブリーガー
ホルン:ラドヴァン・ヴラトコヴィツ
ベートーヴェン:序曲「レオノーレ」第3番 作品72a
R.シュトラウス:ホルン協奏曲第2番 変ホ長調
アンコール/メシアン: (曲目不明、無伴奏ホルン独奏)
ウォルトン:交響曲第1番 変ロ短調
私としては、シャウシュピールハウスでのベルリン交響楽団の演奏会、と書いた方のが本当はしっくりきます。近年名称が変更されたことは知ってはいたものの。旧東側のオーケストラで、かつてはクルト・ザンデルリンクが、近年ではエリアフ・インバルが指揮者を務めていたオーケストラ。そしてここは、バーンスタインがベルリンの壁崩壊を記念して「第九」を指揮したホールで、高校生の頃そのヴィデオを何回も見た私としては憧れの地の一つです。
ザンデルリンクが引退公演としてこのオーケストラを指揮した演奏会のライヴ録音のCDは大変に美しく、私の愛聴盤となっているのですが、最初の「レオノーレ」の演奏がそのCDのサウンドとは著しく異なるので最初は正直大変に戸惑いました。ただ、おそらくは指揮者の意図で弦の編成を10型に絞っていたせいも大きいとは思います。
ヴラトコヴィツさんのホルンは文句なしの素晴らしさでした。この協奏曲は私は勉強したことがなく、それでも何回か聴いたことがあり、いつも何かもこもことしているような、何を言いたいのかよく判らない作品だなあという印象しか持てていなかったのですが、今日の演奏で印象が全く変わりました。それほど彼の演奏は明晰なものでした。
ウォルトンの交響曲は親しむにはまだ時間と勉強が必要な感じがしていて、今日の演奏会が良いきっかけになるのではないかと必死に耳を傾けましたが、どうもしっかりスコアと格闘しなければこの曲の良さを自分が掴むことは難しそうです。でも、ラストの数分をはじめとして、この交響曲の中には宝石がたくさん詰まっているのではないかという感覚を得ることが出来るようにはなってきました。
終演後は、フリードリヒシュトラーセのドゥスマンというお店の広大なクラシックCD売場で物色。24時まで営業とは素晴らしい (併設の楽譜屋さんも24時まで営業してます!) 。ベルリンまで来たのに先日発売されたフォスターさん指揮チェコ・フィルのシューマンなどを購入。
BGM: ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲
クルト・ザンデルリンク指揮ベルリン交響楽団 (2002年録音、Harmonia mundi france)