Diary


6/14

 ドゥダメル氏とベルリン・フィルのリハーサルを見学しよう! と、昨日のN氏・T氏と朝、フィルハーモニーに (少々気弱に) 集結したのですが、諸々の連絡がうまくいかずに断念。悔しいねー、3人でレゴランドでも行く? と言ってはみたものの、これもそのプライスの高さと子供の多さから尻込みし断念。

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 私は最終的にポツダムまで足をのばして、サンスーシ宮殿を見にいくことにしました。


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 アクセスは駅からのバスもすぐに発見できて簡単でした。内部見学のガイドツアーは1時間以上待ちだったので、とりあえずそのチケットだけを買って庭園を散歩し始めましたが、いやはや広大でとても見きれません。でも随所に美しい光景がひろがり、目の保養と心の癒しになります。

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 中国茶館という建物の周囲を、金色の彫刻たちが取り囲んでいました。彼らはお茶を飲んでいたり、楽器を奏でていたり。楽しいですね。

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 内部のガイドツアーはガイドといっても音声ガイドで、日本語のものもあったので助かりました。全員が耳に音声ガイドを押し当てながら、うろうろ歩き回っているのはちょっとおかしかったですが、もちろん自分もそのうちの一人だったわけで。昨日旧ナショナルギャラリーで見たメンツェルの絵に描かれている部屋を、今度は実際に目にすることが出来ました。

 夜はまたベルリンの街中に戻ってきて、今日はベルリン・ドイツ・オペラにバレエを観に行きました。


 今日観た公演@ベルリン・ドイツ・オペラ

 ベルリン州立バレエ団公演
 ジョージ・バランシン・バレエアーベント

 振付:ジョージ・バランシン
 指揮:ヴェッロ・ペーン
 ピアノ:サリーム・アッブード・アシュカール
 ベルリン・ドイツ・オペラ管弦楽団

 「セレナーデ」
  チャイコフスキー:弦楽セレナーデ ハ長調 作品48
   出演:Shoko Nakamura, Elena Pris, Sarah Mestrovic, Wieslaw Dudek
      Ibrahin Önal ほか
  

 「ミューズを率いるアポロ」
  ストラヴィンスキー:ミューズを率いるアポロ
   アポロ:Mikhail Kaniskin
   テルプシコーレ:Nadja Saidakova
   カリオペ:Elisa Carrillo Cabrera
   ポリヒムニア:Gaela Pujol
   レートー:Kathlyn Pope
   2人のニンフ:Jahanna Hwang, Nadia Yanowsky

 「チャイコフスキー=バ=ドゥ=ドゥ」
  チャイコフスキー:バレエ「白鳥の湖」 作品20 第3幕 から
   出演:Corinne Verdeil, Marian Walter

 「バレエ・インペリアル」
  チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第2番 ト長調 作品44
   出演:Polina Semionova, Vladimir Malakhov, Gaela Pujol
      Rainer Krenstetter, Dinu Tamazlacaru, Elisa Carrillo Cabrera
      Maria Seletskaja ほか


 まずびっくりしたのはお客の少なさです。5割ほどだったのではないでしょうか。監督マラーホフ氏自らもご出演だというのに。いつもはどのくらいのお客さんが入っているのでしょうか。

 私は、先日新国立劇場でバレエを振らせていただいた身でありながら、殆どこの分野については無知なので、今後のために少しでも、という気持ちから今日はこの公演を観に行きました。チケット売場で「舞台だけじゃなく、指揮者も見える席が欲しいんだ」などと言うお客は私くらいか。

 ここから先は、バレエ鑑賞素人の感想。

 交響曲やソナタにおけるある種の抽象的表現と同じように、バレエにおいても抽象的表現美で聴衆を長時間惹き付けておくということが出来るということを知ることができた公演でした。

 4作とも、とにかくフォームが洗練されていて美しい。どの瞬間にシャッターを切っても展覧会にかけられるような美しさでした。

 「ミューズを率いるアポロ」はこのバランシンの振付のために書かれたオリジナル。演奏会にかけると、かなり精緻な演奏でも飽きずに聴かせるのが難しい作品ではないかと思いますが、このように完全な形で上演されると全然そんなことはありません。当たり前ですがやはりこの曲はバレエ曲なんだと改めて思い知った次第。クラシカルな技術を基調としなからも、その中にぐぐぐっととんでもモダンな動きが入り込むバランシンの手法と、ストラヴィンスキーの新古典主義の作風は、全くぴたりと合致していました。

 気になる指揮者の方は、あまり舞台を見て振ってはいませんでした。私の目で見てもそれは全然合ってないのではないかというところがありましたが、逆にどうして全然舞台を見ていないのにそんなに合うの?といったところも。この世界も奥が深いですね。オペラ同様、ただ合う・合わないだけの世界では全然ありませんし。


BGM: ストラヴィンスキー:ミューズを率いるアポロ
     イゴール・ストラヴィンスキー指揮RCAビクター管弦楽団  (1950年録音、Andante)


(訂正:その後、「ミューズを率いるアポロ」は、バランシンのために書かれたものではないことを知りました。この作品はエリザベス・スプラーグ・コーリッジの依頼によって1928年4月27日にアドルフ・ボルムの振付、ハンス・キンドラーの指揮によりワシントン議会図書館で初演され、その後、同年6月12日にパリのサラ・ベルナール劇場におけるロシア・バレエ団の公演において、バランシンの振付、ストラヴィンスキーの指揮でヨーロッパ初演された、というのが史実のようです。)

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