今日聴いたコンサート@ルドルフィヌム スーク・ホール
「ドヴォルザークのプラハ」音楽祭
ヴァイオリン:イリヤ・グリンゴルツ
ピアノ:アレキサンダー・マッジャー
ドヴォルザーク:ヴァオリンとピアノのためのソナチネ ト長調 作品100
マクスウェル・デイヴィス:ヴァイオリン・ソナタ
シューマン:ヴァイオリン・ソナタ第3番 イ短調
ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第10番 ト長調 作品96
アンコール/ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第7番 ハ短調 作品30-2 第2楽章
今日のコンサートは本来はドヴォルザーク・ホールで催されるはずでしたが、行ってみると小ホールであるスーク・ホールに変更になったと言われました。席も自由席になっていました。ドヴォルザーク・ホールでは何も行われていなかったので、チケットの売れ行きがあまりに良くないための措置と思われますが、随分思い切ったことをするものです。
グリンゴルツ氏については6年前にヴェルビエ音楽祭でシベリウスの協奏曲を聴いたのが印象に残っていたため今日は聴きにいくことにしたのですが、プラハではまだそれほど知名度が高くないのでしょうか? 何とかスーク・ホールが埋まるほどの集客とは、残念なことです。
スーク・ホールは客席が平面のため後ろの席だと演奏者が見えづらいので、折角だからと前から2列目に座りましたが、グリンゴルツ氏のヴァイオリンも、蓋全開のマッジャー氏のピアノも強烈な音量で、少々座る位置が前過ぎたと後悔しました・・・
演奏は直球一本勝負といった感じで、甘さなくひたすら文句なしの完璧な演奏を繰り出してくるのはさすがにロシアのヴァイオリニストだなあと思いました。ほぼ楽譜にしばりつきだった (譜面台に楽器が当たってしまうのではと心配するほどでした) のも興味深かったです。
プログラム中、マクスウェル・デイヴィスのソナタは今年6月にこの2人によって初演された作品のようで、今日が4回目の演奏ということですからおそらくチェコ初演だったのだろうと推測されます。難解な作品ではなかったもののほぼ無調性。その中で一度急に顔を出した非常にシンプルな調性&旋律の部分は、ホッとするというよりは私にはむしろ奇異に感じられ、その奇妙さばかりが頭に残りました。
私が今夜注目したのはマッジャー氏のピアノでした。タッチはとてもはっきりしていますが嫌な硬さは全くありません。演奏の内容もとてもしっかりと整理されていて曇りがなく、あれだけ近くで聴いても全然誤摩化している部分がないどころか余裕満点な雰囲気でした。ぜひいずれソロでじっくり聴いてみたいと思います。ショパンの協奏曲などのCDも出ているようですね。
そのマッジャー氏の譜めくりを務めた若い男性氏は明らかに慣れていないようで、その初仕事からしていきなり2枚めくってしまってマッジャー氏にものすごい勢いで譜面を戻されていました。いつ譜めくりのために椅子から立とうかも明らかに迷っていて終始落ち着きがありませんでしたし、繰り返しの部分やスケルツォ楽章でまだめくってはいけないところでめくってしまいそうになってマッジャー氏に「ぴしゃーん!」と譜面を叩かれたり。アンコールになってもなお「ぴしゃーん!」とやられていてほとんど彼は泣きそうになっていました。リハーサルや打ち合わせは無かったのでしょうか。ご愁傷さまでした。
BGM: ドヴォルザーク:ヴァオリンとピアノのためのソナチネ
ヨセフ・スーク (Vn.)、アルフレード・ホレチェク (Pf.) (1971年録音、Supraphon)