今日聴いたコンサート@ルドルフィヌム ドヴォルザーク・ホール
プラハ放送交響楽団 第82コンサート・シーズン 第2回定期演奏会
指揮:レオシュ・スワロフスキー
ソプラノ:エヴァ・ドジースゴヴァー=イルショヴァー
メゾ・ソプラノ:ヤナ・ワリンゲロヴァー
テノール:トマーシュ・チェルニー
バス:マルティン・グルバリュ
オルガン:アレシュ・バールタ
ブルノ・チェコ・フィルハーモニー合唱団 (合唱指揮:ペトル・フィアラ)
スメタナ:連作交響詩「わが祖国」から「高い城」「モルダウ」「シャールカ」
ヤナーチェク:グラゴル・ミサ
今夜の演奏会は私が今までに聴いた放送響の演奏会の中では最も完成度が高く充実したものでした。スワロフスキーさんのアンサンブルをまとめる抜群の手腕が最も良い形で発揮されていたと思います。
曲目の選択は、近いチェコスロヴァキアの独立記念日をにらんだものなのでしょうか?プログラムには特に記載はありませんでしたが・・・
プログラム中「モルダウ」は先週指揮したばかりなので特に注意して聴きました。私がこちらで聴いたチェコ人の指揮者、マーツァル氏やペシェク氏は日本人の指揮者の標準的なテンポよりも速めのテンポでこの曲を始めますが今日のスワロフスキーさんは特に速いテンポをとっていました。速ければ良いというものではありませんが今夜はそのテンポ作りによって冷たい水が流れ出す情景が瑞々しく描き出されていたように思います。少々マニアックなことになりますが冒頭のハープのフラジオレットが通常よりも1オクターブ高く演奏されていたのも気になりました。その後で印象に残ったのは婚礼の場面でのポルカ。やはりこれはチェコ人にしか出せないリズム感なのかと悔しくなるような生き生きとした演奏でした。月光の音楽に入る前、4分の4拍子の2小節目から3小節目に入るところはノンブレス。ここは日本ではブレスをするのが当然の箇所であるように思いますがチェコでは指揮者によってブレスをする時もしない時もあります。また聖ヨハネの急流の場面ではティンパニにチェコ・フィル同様のアレンジがなされていました (これは大変効果的かつ音楽的なアレンジで、私も先週、特にお願いしてこのヴァージョンで叩いていただきました) が、一体これは誰のアイデアによるものなのでしょうか。1929年のターリヒとチェコ・フィルの録音で既にこのヴァージョンを聴くことができます。
後半のヤナーチェクは、私のお気に入りのトランペット・セクションが光っていましたし、ヤナーチェクの街ブルノからやってきた合唱団のストレートな響きも気持ち良く、名手バールタ氏の独奏も圧倒的で大変聴き応えがありました。力まず、適度な冷静さを保ちつつ、着実に音を積み上げていった時に響くヤナーチェクの誇り高く神々しい音楽を感じ取ることが出来、ヤナーチェク演奏の一つの規範を学んだ思いがしました。
客席にはマーツァル氏や今週のチェコ・フィルの指揮者、ゾルマン氏もいらしていて、ほぼ満席となったホールには熱気がありました。