Diary


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今日聴いたコンサート@サントリーホール 大ホール

 プラハ交響楽団 2010年 日本公演

 指揮:スデニェク・マーツァル
 ピアノ:仲道 郁代

  シューベルト:交響曲第8番 ロ短調 D.759 「未完成」
  ショパン:ピアノ協奏曲第1番 ホ短調 作品11
  ヤナーチェク:シンフォニエッタ


 久しぶりにプラハ交響楽団の演奏を聴きました。マーツァル氏とのコンビで聴くのは初めてです。

 舞台を眺めた時、対向配置になっているのを見て「!」と思いました。というのも、この公演、当初はイルジー・コウトさんが指揮されるはずでしたが、コウトさんが指揮される時のプラハ交響楽団は基本的に対向配置をとるのです。他の指揮者の時は通常配置の時が多く (少なくとも私が観に行っていた頃は) 、マーツァルさんが対向配置を指示されることは少なくともチェコ・フィルでは一度もなかったはずなので、このセッティングはコウトさんへのリスペクトなのかなあと、勝手に想像したのです。

 もっとも出ていた音は、コウトさんの時の暖色系とはちょっと違った、マーツァルさん特有のくっきりとしたサウンドでした。

 プラハ響の定期というのは、日本のオーケストラのそれに比べてはるかに客席に寛ぎがあります。ですので客席の静まりかえった、一音たりとも漏らさず聴くぞ的な雰囲気に最初はちょっと違和感をおぼえてしまいました。私自身がそんな雰囲気の中でプラハ響を聴いたことがなかったからです。そしてこんな厳しく評価されるような舞台でプラハ響はどういう演奏をするのか心配をしてしまいました。しかし今夜のプラハ響は、プラハでの定期演奏会に比べてもはるかに引き締まった見事な演奏を聴かせてくれました。サントリーホール・マジックでしょうかね。

 プラハ響の響きの特徴はふわっと軽く、蒸留水のように透き通った弦楽器のサウンドなのではないかと思います。今夜も特にショパンとヤナーチェクの歌う部分でその美しさは際立っていたように思いました。ただ、サントリーホールの空間が広いため少々損だったかなあという感も否めません。プラハのホールには、彼らの本拠地スメタナ・ホールも、あるいはチェコ・フィルの本拠地ルドルフィヌムもそうですが、縦の空間はあっても横と後ろの空間があんなに開いているホールはないので、彼らは基本的に前と斜め上方 (客席後方にある2階席の方向) に音を響かせていけば良いのですが、サントリーホールを満たすにはまた別のことが求められるような気がするのです。

 やっぱりまた、スメタナ・ホールで彼らの演奏を聴いてみたいなあ・・・

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