Diary


9/23

 今夜はチェコ・フィルの演奏会でした。懸案事項についての連絡が全くこないので不安になっていたのですが、オーケストラのマネージャーの方が私の隣の席にいらっしゃり、「オーケストラ委員会に話をして 〜(中略、というか聞き取れず)〜 それでリハーサルのスケジュールを渡すからまた来てちょうだい」とのこと。ようやく一歩前進です。


 演奏会はロシアの指揮者、ラザレフ氏によるロシア国民楽派マニアックプログラム。

 今日聴いたコンサート@ルドルフィヌム ドヴォルザーク・ホール

 チェコ・フィルハーモニー管弦楽団演奏会

 指揮:アレクサンダー・ラザレフ
 ピアノ:イヴァン・ルディン

  グリンカ:歌劇「イワン・スサーニン」 序曲
  バラキレフ:ピアノ協奏曲第2番 変ホ長調
  アンコール/ 2曲 (曲目未詳)
  チャイコフスキー:組曲第3番 ト長調 作品55


 9日振りに聴くチェコ・フィルのサウンドは、非常に柔らかかったです。オーケストラの基本とする音量も、決して大きくはないこのホールによくマッチしていましたし、不思議とほかのどんなオーケストラより音が長い時間ホールに残っているような気がしました。またホールに音を横に広くも縦に長くも実に多彩に響かせることができるのもチェコ・フィルだけで、やっぱりこのホールに暮らすオーケストラなんだなあと思いました。

 ラザレフ氏はかなり面白かったです。うきうきとステージに出ていらして、楽員が楽器を構えるか構えないかのうちにグリンカを振り始めてしまいました。楽員が燕尾服なのになぜ彼だけ黒シャツなのか、どうしてカーテンコール中に何度もお客に投げキッスをするのか、どうして全然音を出していないパートを覗き込むのか、どうして振っている最中に一晩で十回近くもお客のほうを語りかけるような顔で見るのか、どうして振っている最中に眼鏡を外したと思ったらまたかけたりするのか、どうして片足を指揮台から下ろしてしまうのか、もう不可解なことだらけでしたが、とにかく楽しくってたまりませんでした。

 バラキレフの協奏曲は、リストとボロディンとチャイコフスキーの成分が多数含まれており、にやけながら聴いてしまいました。私の耳が悪いのか、どうにもこのホールの2階席ではピアノの音が通ってこないように感じるのが残念です。ピアノのルディン氏は1982年生まれ。アンコールでさらっと超絶技巧を披露してくれました。ロシアの香りがする2曲だったのですが、ピアノ曲のレパートリーに全く疎い私は誰の何という曲だか全く見当がつかず。アンコールの曲はほんと掲示してほしい!

 チャイコフスキーの組曲第3番は組曲というにはちょっと大曲です。ただ彼の交響曲のような一つのテーマ性を持っているわけではないので、そこらへんが彼がこの曲を組曲と名付けた所以なのでしょう。この曲はチャイコフスキーの語法のデパートみたいな曲ですごく多彩。感動的な部分も多いし、全体的には楽しめる曲でおすすめです。今日は最後のポロネーズでオーケストラが輝きまくって圧倒的でした。ヴァイタリティあふれるラザレフ氏の功績大だと思います。最後の和音でラザレフ氏が客席と向かい合わせになって (!) 、大拍手となりました。

 なんかラザレフ氏が色物みたいな書き方になってしまいましたが、小手先で音楽をすることが一瞬もなく、音楽を創る楽しみに没頭する姿には心奪われました。プレーヤーとのコミュニケーションもとれまくっていて見ているだけで気持ちよくなりました。

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